2021.05.30

セックスでいけない?遅漏/膣内射精障害とは?症状から治療法まで解説

セックスで射精が遅い、もしくは射精ができない、という経験はありませんか?それは「遅漏」や「膣内射精障害」と呼ばれる状態です。今回は、悩んでいる人も意外と多い、「遅漏」と「膣内射精障害」について解説したいと思います。誰にでも起こりうる問題なので、正しく把握して上手く対処できるようになりましょう。

目次

遅漏/膣内射精障害とは
遅漏/膣内射精障害だと何がどう困る?
遅漏/膣内射精障害の原因と予防法
遅漏/膣内射精障害の改善方法
遅漏/膣内射精障害との付き合い方
まとめ:遅漏/膣内射精障害に対処して、より良い性生活を
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遅漏/膣内射精障害とは

まずは遅漏と膣内射精障害の基礎的な情報から見ていきましょう。

遅漏/膣内射精障害ってどんな状態?

遅漏とは、セックスでの射精が本人の意図よりも遅い状態を指します。一方、膣内射精障害とは、セックス中の射精が困難な状態を指します。遅漏と膣内射精障害を明確に分ける基準はありませんが、重度の遅漏が膣内射精障害だと考えてください。また膣内射精障害は、医学的には「性機能障害」に分類される立派な疾患です。遅漏、膣内射精障害共に、時と場合で症状は変化し、膣内射精障害の人でも射精できることもあります。また、マスターベーションでの射精は可能な場合がほとんどです。

遅漏/膣内射精障害の基準

遅漏、膣内射精障害共に、明確な診断基準はありません。セックスでの射精の遅さについて、本人もしくはパートナーがストレスを感じていれば、遅漏や膣内射精障害であると考えましょう。逆に射精が全くできなくても、カップルがストレスを感じていなければ、治療や対処の必要はありません。

点数で遅漏の具合をセルフチェックする方法もあるので、気になった方は以下を確認してみましょう。

<参考>
遅漏・腟内射精障害セルフチェック

何人に一人が遅漏/膣内射精障害?

TENGAヘルスケアが2017年に行った調査では、20-70代の男性の内5.8%(約270万人)が膣内射精障害*という結果が出ました。クラスに1人か2人いると考えると、膣内射精障害が珍しい疾患ではないことが分かります。また、自分のことを「遅漏気味だ」「遅漏だ」と考えている男性は15.2%(約709万人)に上りました。
*ここでは「半分以上の頻度で膣内で射精できない状態」を膣内射精障害としています。

遅漏/膣内射精障害だと何がどう困る?

次に、遅漏や膣内射精障害になると、どのように困るかを紹介していきます。

男性側の悩み

男性の中には、「挿入時間は長い方が良い」「早漏はカッコ悪い」というイメージを持っている人も多いと思います。「遅漏や膣内射精障害はむしろ良いことなんじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、長すぎる挿入時間は時として問題となります。遅漏や膣内射精障害の問題は当事者にはとても深刻で、性生活の満足度を大きく低下させます。

<遅漏/膣内射精障害の男性の悩み>

  • 射精できない場合、セックスの終わらせ時が分からない
  • セックスの達成感がない
  • 気持ちよくなれない
  • 射精できなかったときの雰囲気が気まずい
  • パートナーに申し訳ない
  • 恋愛に積極的になれない

女性側の悩み

男性が遅漏や膣内射精障害だと、女性側にも不安や悩みが生じます。特に性交痛は男性が気づけず、女性が1人で悩んでしまうケースが多いでしょう。

<遅漏/膣内射精障害に対する女性の悩み>

  • 挿入時間が長くて膣の周辺が痛い(性交痛)
  • セックスが疲れる
  • 自分では気持ちよくなってもらえないのか、と不安になる
  • 達成感がない

膣内射精障害は妊活で困る?

また、膣内射精障害は妊活でも問題となります。妊活の初期には、排卵日に合わせたセックス(タイミング法)を行う場合が多いですが、膣内で射精できないので目的が果たせません。射精できないことが「たまにある」程度なら良いですが、一度失敗を経験すると、次のセックスでも焦りや不安が生じ、それによって膣内射精が更に難しくなるという悪循環におちいる可能性があります。

以上のように、遅漏や膣内射精障害は、本人だけでなくカップル二人の性生活の満足度を低下させ、時として別れや不仲の原因にもなります。また、妊活での障害にもなります。

実際の「遅漏・膣内射精障害患者の声」は以下で紹介されています。「もしかしたら自分も?」と思った方は、参考にしてみましょう。

<参考>
遅漏・膣内射精障害患者の声

遅漏/膣内射精障害の原因と予防法

膣内射精障害 原因 オナニー

遅漏や膣内射精障害の原因の約7割は「不適切なマスターベーション」、残りの約3割は「心理的な問題」だと言われています[1]。次はこれら原因と、その予防法について見ていきましょう。

不適切なマスターベーション

普段行っているマスターベーションの方法が不適切で、セックスの刺激では快感を得づらくなり、遅漏や膣内射精障害になってしまうパターンです。そもそも「適切なマスターベーション」は、卵を握る程度の優しいグリップ & 手のスピードは実際のセックス程度、と言われています。つまり膣で得られる程度の刺激に留めるわけですが、これを逸脱すると「不適切なマスターベーション」になります。

<代表的な不適切なマスターベーション>

  • 強グリップ
  • 高速ピストン
  • 脚ピン
  • 床オナ
  • 振動オナニー
  • 皮オナ
  • 水流オナニー
  • 高刺激のオカズ

ここでは割愛しますが、不適切なマスターベーションについては以下で詳しく解説しています。気になった方は見てみましょう。

<参考>
膣内射精障害のリスク増 危ない!不適切なマスターベーション(オナニー)8選(男性編)

心理的/精神的な原因

心理的な原因で、遅漏や膣内射精障害になる場合もあります。そもそも勃起や射精は、男性の神経の活動と密接に関わっており、射精には交感神経の活動(緊張状態)が、勃起には副交感神経の活動(リラックス)が必要だと言われています。この交感神経と副交感神経の活動が上手く切り替わることによって、勃起や射精が成立するのですが、不安などを感じると、この切り替えが上手くいかなくなります。

<遅漏/膣内射精障害の原因となる心理的/精神的要因>

  • 不安(妊活のプレッシャーなど)
  • 落ち着かない(普段と異なる場所や、何か気がかりなことがある)
  • 過度な飲酒
  • 精神疾患の治療薬

遅漏/膣内射精障害の予防方法

「不適切なマスターベーション」と「心理的/精神的な問題」が、遅漏や膣内射精障害の原因になるため、これらを取り除いたり避けたりすることが、遅漏と膣内射精障害の予防になります。

特に原因の7割を占める「不適切なマスターベーション」は、一度その方法が沁みついてしまうと、なかなか辞めることができないため、興味本位でトリッキーなマスターベーションに手を出すのは控えましょう。また、思春期の子どもや親戚がいる場合には、何気なく適切な方法を教えてあげられると、その子の将来のためになるかもしれません。

<適切なマスターベーションの方法>

  • 優しく握る
  • ゆっくり動かす
  • 脚の力を抜く
  • 皮は剥いて行う
  • 床、振動、水流などの膣とはかけ離れた刺激をしない
  • 刺激の強いオカズは控える(想像がベスト)

遅漏/膣内射精障害の改善方法

続いて、「現在膣内射精障害だ」「射精までの時間をもっと早くしたい」という方のために、改善方法を紹介します。

ED気味の場合

そもそも「勃起障害(ED)」があると、挿入中に萎えてしまうため、射精するための十分な挿入時間が得られていない可能性があります。この場合、まずはEDを治療することが先決です。EDが改善されると挿入時間が伸び、それによって膣内射精障害が改善する場合があります。EDは生活習慣の見直しで改善する場合もありますが、スグに改善したい場合は、やはり「勃起薬」の服用がオススメです。高血圧など、勃起薬が服用できない場合もありますので、必ず専門の医療機関を受診し、そこで購入するようにしましょう。

<参考>
【遅漏トレーナーが語る】ED(勃起障害)と膣内射精障害の深い関係

床オナをしてしまう場合

「床オナ」とは、床 (畳や布団) に陰茎をこすりつけて刺激する、不適切なマスターベーションの1種で、遅漏・膣内射精障害の大きな原因となります。

床オナをしていて手では射精できない場合、まず床オナからの卒業を目指す必要があります。以下の記事で、実際の事例を交えて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

<参考>
1週間から始める床オナ卒業

トレーニングでの改善方法

EDではない場合、トレーニングによって遅漏や膣内射精障害が改善できる可能性があります。トレーニングは、専用のマスターベーションデバイス(メンズトレーニングカップ)を使用して行います。刺激が強いCUPから始めて、射精ができたら次は一段刺激の弱いCUPを使います。徐々に刺激を弱くしていき、最終的には膣と近い刺激感のCUPで射精できれば、膣内射精障害はほぼ改善しています。この方法を週1回、平均4.4ヵ月行うことで、膣内射精障害患者の9割以上が膣内で射精できるようになったと報告されています。膣内射精障害を根本的に治療したい方は、トレーニングでの改善を検討してみましょう。

<参考>
メンズトレーニングカップ トレーニングガイド(遅漏・膣内射精障害編)

メンズ トレーニング カップ 遅漏 改善

心理的/精神的原因の場合

心理的/精神的な原因があれば、それを取り除くことで改善が期待できます。「早く射精しよう」と考えると、その焦りで射精は遠のくので、むしろ射精にはこだわらず、気負わず、リラックスしてセックスに臨むと、良い場合もあります。

またパートナーも、あまり男性にプレッシャーを与えないように注意しましょう。もし、「膣内射精できることはそれほど重要だと思わない」「射精前にセックスが終わっても十分満足できている」など、早く射精することをそれほど重要だと考えていない場合は、それを男性に伝えてあげると、プレッシャーが減って良いかもしれません。

また、一人では解決方法が見つからない場合は、専門医のカウンセリングを受けるのも良いでしょう。

<参考>
射精障害克服のために 専門医へのオンライン相談(カウンセリング)

遅漏/膣内射精障害との付き合い方

遅漏や膣内射精障害の改善方法を紹介しましたが、改善には時間を要することがほとんどで、症状や原因によっては改善が難しい場合もあります。遅漏や膣内射精障害であっても、性生活を充実させたり、妊活で困らないようにする方法はあるのでしょうか

男女共に相手に相談しよう

男女共に、自分やパートナーの射精が遅くて困っているなと感じたら、まずはその悩みを相手に打ち明けましょう。特に、挿入時間が長いことで女性が性交痛を感じている場合、男性はそのことに気付けていない場合がほとんどです。「察して欲しい」と思っている間に、慢性的な膣の粘膜炎や感染症になる場合もあるので、問題の先送りはオススメできません。

悩みを共有できると一緒に改善や原因への対処に取り組めたり、気が楽になったりします。また、どの程度の挿入時間で満足するかは人それぞれなため、「相手はこれ位を望んでいるはず」といった決めつけはせず、まずは相手の希望を聞いてみると良いでしょう。

<参考>
セックスの理想の挿入時間は何分か?挿入時間から早漏/遅漏を考える

性交痛のお助けアイテム「潤滑ゼリー」

性交痛が悩みの種となっている場合は、潤滑ゼリーの使用がオススメです。潤滑ゼリーは膣に使用可能な潤滑剤で、挿入の滑りを良くして性交痛を緩和させてくれます。女性が携帯することはもちろん、男性がコンドームと同様に携帯しても良いでしょう。

<参考>
やさしくうるおう「MOIST CARE GEL」で不安とストレスのないラブタイムを

MOISTCAREGEL 性交痛 潤滑 ローション

妊活のお助けアイテム「シリンジ法キット」

「膣内射精障害で妊活が進められない」とお困りの方には「シリンジ法」がオススメです。

シリンジ法は、男性が採取した精液を、専用のカテーテルとシリンジで吸引し、膣に注入する妊活の方法で、セックスせずに、膣内で射精した場合と同じ状況を作ることができます。このシリンジ法を行うためのアイテムを「シリンジ法キット」と呼びます。

セックスせずに初めからシリンジ法を行っても大丈夫ですが、射精できなかった場合にだけシリンジ法を行うことも可能です。妊活のプレッシャーで膣内射精障害になっている男性の場合、「射精できなくてもシリンジ法がある」と気楽になれると膣内射精障害も治ってしまう場合もあります。

<参考>
タイミング法の「お守り」に?妊活中はSeed inを用意しておくとプレッシャーが減って安心かも

Seed in シリンジ法 妊活

まとめ:遅漏/膣内射精障害に対処して、より良い性生活を

今回は、遅漏と膣内射精障害の症状や原因、改善方法などを紹介してきました。「挿入時間が長い」という状態は、様々な問題やストレスの原因になります。少しでも不安や気がかりがあれば、自分達の状況や要望をよく把握した上で、適切に対処していきましょう。

 

【参考/出典元】
[1]阿部 輝夫『オルガズム障害とセックス・セラピー、セックス・カウンセリング入門 第2版』金原出版, p122-128, 2005.

 

<この記事の監修>
福元メンズヘルスクリニック 院長
福元 和彦(医師)
■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医
福元メンズヘルスクリニック


<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任 牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!

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勃起薬も試してみよう

コラム本文でもお伝えしたように、「勃起障害(ED)」があると、挿入中に萎えてしまうため、射精するための十分な挿入時間が得られていない可能性があります。この場合、まずはEDを治療することが先決です。

EDが改善されると挿入時間が伸び、それによって膣内射精障害が改善する場合があります。

勃起力に不安のある方は、まず勃起薬の服用を試してみるのも良いでしょう。

 

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勃起薬はED治療の第一選択肢です。ご興味のある方は、この機会にぜひ検討してみましょう。

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