男性性機能(ED・遅漏)に効果がある漢方薬
目次
漢方薬の特徴
漢方薬からみる性機能
漢方薬を使う前に自分のタイプ「証」を見極めよう
EDに効果がある漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
四逆散(しぎゃくさん)
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
遅漏に効果がある漢方薬
漢方薬の効果を最大限引き出すために
漢方薬の特徴
TENGAヘルスケア専属遅漏改善トレーナーの赤木です。今回は、私が性機能に関する学びを深めるために参加した「第41回 日本性科学会学術集会-特別講演:性機能と漢方」より、男性性機能に効果がある漢方薬についてご紹介します。
まず、漢方薬は私たちが普段薬局などで買う解熱剤とは考え方が異なります。解熱剤は「高熱」という症状にフォーカスして、治療します。一方、漢方薬では身体のバランスの崩れを元の状態に戻して体調をよくするという考え方をします。森の中の病気の木を治療するのか、森全体のバランスを整えて体調を良くするのかと捉えると分かりやすいかもしれません。
漢方薬では身体と心の不調はリンクしている捉え、身体の不調であっても心の不調を考えて処方したり、逆に心の不調であっても身体の不調を調べて処方したりすることがよくあります。
漢方薬からみる性機能
東洋医学では人体を「肝・心・脾・肺・腎」の5つに分類して、どの部分に不調があるとどこに影響があるのかなどをまとめています。なお、医学的な肝臓や心臓とは字は同じですが、全く異なる考え方です。
性機能をつかさどっているのは主に「腎」の部分で、「腎」は性行為で射精をすると生まれつき持っていた量が少なくなり、不調をきたすといわれています。江戸時代の養生訓の中で有名な「接して漏らさず」というのは、「腎」に対する考え方が由来しているという説があります。セックスはしても射精はしない、射精をすると腎が少なくなって不調をきたすからというものです。
「腎」が不足している状態は腎虚といわれます。性機能に効果がある漢方薬を調べていくと、必ず出てくるキーワードです。漢方薬にはこの「腎」を補う補腎薬という種類のものがあり、ここで紹介するのも補腎薬が多いです。
漢方薬を使う前に自分のタイプ「証」を見極めよう
漢方薬は服用する前に気をつける大事なことがあります。それが「証」です。「証」というのは、自分の身体がどういうタイプかを表したもので、この「証」の違いによって同じ漢方薬でも効果が全く違うということはよくあります。むしろ使ってはいけないという場合もあります。
「証」には大きく2つの種類があり、実証・虚証といいます。厳密にはほかにも証を分けるものがあるのですが、ドラッグストアで漢方薬を購入するには実証・虚証だけでも十分です。実証・虚証は身体の特徴によって判断することができます。
どちらの特徴もあるという場合には多いほうを考えてみてください。例えば、私は元野球部でがっちりした体型、顔色は悪くないが肌が荒れやすい、声は大きく、夏のほうが暑くてつらいという特徴があります。実証、虚証どちらの特徴もありますが、実証のほうが多いですよね。ということで実証にあてはまります。もし自分では判断が難しい場合には、薬剤師さんに聞いてみてください。とくに漢方薬局の薬剤師さんはプロ中のプロですので、必ず教えてくれるでしょう。
EDに効果がある漢方薬
では、実際にEDに効果がある漢方薬として講演内で話題になっていたものを紹介します。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
八味地黄丸は名前の通り8種類の生薬が入っていて、不足した「腎」を補う効果があります。胃腸に負担をかける生薬もあるので、胃腸が強くない人にはあまり向いていません。どちらかというと加齢に伴った性欲低下やEDに効果があります。そのため、それほど年齢を重ねていない人、仕事のストレスやプレッシャーなどを感じている人には効果が薄いかもしれません。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
東洋医学では身体の生命活動エネルギーを「気」とよびます。この「気」が体の中で不足している状態を気虚といい、気虚の方に処方されるのが補中益気湯です。なんだか元気が出ない、仕事がいそがしくてセックスする元気も余裕もなくてED気味という方にはオススメです。八味地黄丸と違い、胃腸に負担をかける生薬がないので、胃腸がよわい、弱り気味という人でも問題ありません。実証タイプで元気がある人が補中益気湯を服用すると、身体の気が増えすぎて、それはそれで不調の原因になるので注意してください。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯は漢方薬の向精神薬ともよばれ、ストレスによる不安感が強い場合や不眠などの症状があるEDに用いられます。実証タイプの人向きです。とくに下痢気味な人は症状が悪化する可能性があるので控えたほうがいいです。妻から排卵日を伝えられて、プレッシャーを感じてEDになってしまうというのは妊娠を希望されるカップルの間では少なくない話です。このような精神的なストレスやプレッシャーなどからくるEDの方にはオススメです。
四逆散(しぎゃくさん)
四逆散は柴胡加竜骨牡蛎湯と同じく、柴胡(さいこ)という生薬が含まれていて、精神的なストレスが原因の不安を抑える効果があります。心因性のEDに処方されることがあります。どちらかというと実証タイプ向きです。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
先ほどの柴胡加竜骨牡蛎湯に名前が似ている漢方薬です。柴胡加竜骨牡蛎湯では実証タイプの人向きと説明しましたが、桂枝加竜骨牡蛎湯では虚証タイプの人向きになります。同じように精神的なストレスでEDになっていて、虚証タイプの人にオススメです。
遅漏に効果がある漢方
学会講演では主にEDに効果がある漢方薬について紹介がありました。講演後の質疑応答では私のほうから、射精障害とくに遅漏に効果があるものはないかと聞いたところ「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」は効果があるかもしれないと回答がありました。
半夏厚朴湯は精神的な不安や緊張を取り除いてくれる作用があります。実証・虚証問わず服用することができます。セックスの際に「また射精ができなかったらどうしよう」「パートナーは遅漏の自分が嫌なんじゃないか」など不安や恐れを感じてしまうと、脳内での性的興奮が高まらず射精は難しい状況になります。そのような場合に半夏厚朴湯を服用していると、不安や緊張が抑えられ射精しやすい状況を作り出すことができるかもしれません。
まとめ:漢方薬の効果を最大限引き出すために
今回ご紹介した漢方薬はどれもドラッグストアや薬局で購入することができます。また漢方薬局では専門の医師や薬剤師が、診察やカウンセリングを通じてより詳細な自分の「証」を調べ、最適な処方をしてくれます。薬局で購入する場合は薬代だけですが、カウンセリングを伴うと費用が高くなるケースもあります。その分、自分にピッタリはまる漢方薬を処方してもらえるというメリットもあります。ドラッグストアや薬局で購入する場合でも、薬剤師さんに相談すると薬の飲み合わせの注意事項を教えてくれますので、漢方薬を最大限活用したい場合には薬剤師さんに相談するようにしてください。
〈著者プロフィール〉
TENGAヘルスケア専属遅漏改善トレーナー
赤木達人(あかぎたつと)
昭和62年生まれ。中高一貫の男子校出身で、共学を目指して薬学部に進学。大学院で初めての恋人ができたが、一度も膣内射精ができないまま別れることに。社会人になってからも、どの恋人にも膣内射精ができず、自分が重度の遅漏(膣内射精障害)であることに気づく。結婚後に自力で膣内射精障害を克服した経験から、膣内射精障害をはじめとした男性の性機能障害についてYoutube・note・Twitterなどで「ゴリ太郎」という名前で情報発信を行っている。3児の父。
勃起力に不安のある方へ
古来から用いられてきた漢方薬ですが、服用を続けても効果が得られない場合は、西洋薬を試すことも方法の一つです。
勃起力に不安のある方は、まず勃起薬の服用を試してみるのも良いでしょう。