ペニスの専門医に聴く、早漏と包茎の関係性

「包茎のままだと早漏が治らない」「包茎だと亀頭が刺激に弱いままだから早漏の原因になる」と、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。その噂を信じて、包茎手術に挑む人もいるでしょう。

しかし、包茎ではないのに早漏だったり、包茎でも遅漏だったりする人もいますよね。一体、包茎と早漏はどう関係しているのでしょうか。

今回は「早漏と包茎の関係性」について、泌尿器科医の今井先生にインタビューしました。早漏と包茎の謎に迫りつつ、早漏の改善方法も聞いていきたいと思います!

聖隷浜松病院リプロダクションセンター センター長
今井 伸(医師)
■泌尿器科医 ■性機能専門医 ■生殖医学会生殖医療専門医 ■性科学会認定セックス・セラピスト専門医
聖隷浜松病院リプロダクションセンター

目次

 

ペニスの専門家にインタビュー
 早漏と包茎の関係性
 専門医が考える早漏の原因①「堪(こら)えが効かない」
 専門医が考える早漏の原因②「筋力の低下」
 専門医が考える早漏の原因③「脳の興奮」
 専門医が考える早漏の原因④「勃起力の低下」
 「早漏の原因は包茎」この噂はどこから?
 早漏改善に効果的な方法
まとめ:包茎と早漏はあまり関係がない

ペニスの専門家にインタビュー

早漏 包茎 インタビュー 今井伸

ーーこんにちは。今井先生、本日はよろしくお願い致します!

今井:聖隷浜松病院リプロダクションセンターのセンター長の今井です。よろしくお願いします。

早漏と包茎の関係性

ーーいきなりですが、早漏と包茎の関係性について教えてください。包茎は早漏の原因となるのでしょうか?

今井:結論から言うと、包皮の状態が射精の早い・遅いに関与している可能性は低いと思います。射精の早さを左右する要素は、包皮の状態や亀頭の敏感さよりも、もっと別の所にあると考えられます。
包茎に関しては、科学論文であっても宗教的要素が多少なりとも関与してくるため、評価が難しい面がありますが、「割礼(宗教上の理由や慣習で包皮を切除すること)は早漏に影響するか」を検討した研究(メタアナリシス)で、割礼を受けたグループと割礼を受けていないグループと比較し、早漏の発生率に差がないと報告されています。

ーー包皮の切除によって亀頭が常に露出するようになると、刺激に慣れていける気がしますが、これは早漏改善には繋がらないのでしょうか?

今井:亀頭が露出することで、亀頭の感覚が鈍麻する(鈍くなる)というのは間違いありません。特に真性包茎だと、亀頭に触れるだけで痛みを感じる方もいますので、包茎手術によって鈍感になる可能性はあるでしょう。
ただ、先程も言った通り、亀頭の敏感さは早漏の大きな要素ではありません早漏を改善したい場合、もっと別の方法があるので、まずはそれらを試してみることをオススメします。早漏改善のために包茎手術をするのは、あまり賢い選択肢ではないですね。

ーーTENGAヘルスケアには、包茎手術によって遅漏になった社員がいます。これは、ある意味「早漏が改善された」と言えると思います。これについては、どう思われますか?

〈参考〉 包茎手術体験〜世界一の遅漏が語る、20年越しの後悔〜

今井:取締役の佐藤さんの話ですね。確かに挿入時間は長くなったようですね。ただこのケースでは、性感帯の切除によって何も感じないペニスになってしまい、失ったものの方が大きかったと思います。ご本人からも「包茎手術をしたことを後悔している」と聞いたことがあります。
この佐藤さんのように、包茎手術で挿入時間が延びる場合も確かにあるとは思いますが、リスクをよく把握してから実施するべきでしょう。早漏改善が主目的であるならば、後戻りができない包茎手術ではなく、別の方法を試していくべきです。

専門医が考える早漏の原因①「堪(こら)えが効かない」

ーー早漏の原因である、他の要素というのは何でしょうか?

今井:早漏の原因の1つは、「射精の堪えが効かない」ということです。マスターベーションでは、あまり射精を我慢しませんよね?ノーブレーキで射精まで至ります。これを繰り返しているうちに我慢が効かなくなるんです。

ーーたしかに!堪える習慣が身についていないんですね!

今井:はい。なので、相手に「早い」と言われて、初めて自分が我慢できていないことに気がつく人もいますね。

ーーその場合、どうしたら良いのでしょうか?

今井:私はマスターベーションの際も「何回か我慢してから出すこと」を、患者さんにオススメしています。例えば、射精しそうになったら3回寸止め(尿道括約筋をギュッと締めて精液が出ないようにする)をして、4回目に出すといった方法です。これは「STOP -START法」と呼ばれるトレーニング方法です。
なかなか自力で寸止めができないという場合は、「スクイーズ法」も併用します。射精をしそうになったら刺激を止めて、亀頭の下でペニスをギュッと強く握って(尿道を握って押さえることによって)射精反射を抑えるというものです。射精しそうな感覚が治まったら、引き続き刺激を再開し、射精しそうになったらまたペニスをギュッと握りしめる、という過程を数回(3回にこだわる必要はありません)繰り返してから射精します。これが、早漏克服の基本です。

専門医が考える早漏の原因②「骨盤底筋の筋力低下」

ーー他にも早漏の原因となる要素はありますか?

今井:骨盤底筋群(骨盤の底に位置する筋肉の総称)や、尿道括約筋の筋力低下も早漏の原因になります。これらの筋肉は、尿意やおならを我慢する際に収縮している筋肉です。
射精の直前には、「射精したい!出したい!」という圧力と、これらの筋肉が拮抗するんです。そしてこの緊張が臨界点を突破すると、骨盤底筋が痙攣し射精してしまいます。

骨盤底筋 早漏

ーー骨盤底筋の筋力が低下すると、筋肉での制御が効かなくなって射精してしまうんですね。

今井:はい。特に年配者だと骨盤底筋が弱くなっている方も多く、それが早漏の原因になっています。

〈参考〉 骨盤底筋トレーニングで早漏を改善しよう

専門医が考える早漏の原因③「脳の興奮」

ーー興奮し過ぎることも原因になりますか?

今井:そうですね。脳の過度な興奮も1つの原因と言えます。興奮を落ち着かせるための昔ながらの早漏予防法といえば、畳の目を数えながらセックスするとか、興奮しない人の顔を思い浮かべるとか…、そんな長持ちさせる口伝えが今でも残っているほどです。
私の場合、昔お尻の汚い関取がいたのですが、セックス中にそれを思い浮かべて落ち着かせていました。

脳 早漏 防止 対策

ーー萎えさせる作戦ですね(笑)この方法は男性なら誰もが知っているのでしょうか?

今井:この方法は、知っている人にとっては当たり前かもしれませんが、強い性的興奮が起こるのを抑えることができます。ですので、この手の話を誰ともしてこなかった人は、もしかしたら知らないかもしれませんね。試したことがない人は、やってみると効果があるかもしれませんが、射精のコントロールそのものには効果がないともいわれているので、「stop-start法」とセットでやってみるのがよいでしょう。 

ーー確かに、猥談ができる人なら刷り込まれているかもしれませんが、してこなかった人だと、知らないかもしれませんね…。脳の興奮を落ち着かせる手段としては、挙げていただいたような行動療法が、メインになるのでしょうか?

今井:はい、基本的には行動療法がメインですが、興奮の制御が難しそうな方には、お薬もお出ししています。ただし、薬には副作用もあり、毎回飲まないといけないので、他の治療法も並行して実施するのが良いでしょう。

専門医が考える早漏の原因④「勃起力の低下」

今井:他には「勃起力の低下」も早漏の原因になります。

 ーー勃ち具合ですか?

今井:そうですね。実は、完全に勃起している状態よりも、半勃起の状態のほうが、亀頭は快感を得やすくなっているんです。

ーーえ!てっきり完全に勃起している状態が1番気持ち良いと思っていました。

今井:完全勃起の状態では、それ以上ペニスを大きくする必要がないため、それ以上気持ち良くなる必要がないんですよ。逆に半勃起の時の方が、そこから更に勃起させないといけないので、体が快感を感じやすい状態になっています。この仕組みは、泌尿器科の教科書にも記されています。

 ーーなんと!教科書に完全勃起と半勃起の感度の違いが!ぜひ読んでみたいです。

「早漏の原因は包茎」この噂はどこから?

ーーでは、「早漏の原因は包茎にある」「包茎のままだと早漏が治らない」等の噂はなぜ出てきたと思いますか?

今井:包茎手術を行っているクリニックの広告や、包茎に関して書いている雑誌などが原因だと考えられます。真性包茎や嵌頓(カントン)包茎など、本当に手術が必要な場合もありますが、いわゆるお金儲けのために、不必要な患者にも包茎手術をしてしまうクリニックが存在します。現に某クリニックの先生は「包茎=モテないと広めたおかげで、手術がたくさんできて大儲けした」と雑誌の中で暴露しています。このような宣伝や煽りから、噂が流れていったのでしょう。

包茎手術 

ーー悪どいですね…

今井:真性包茎や嵌頓包茎での手術は保険適用になるので、クリニックの儲けは大きくありません。一方、仮性包茎での包茎手術は保険適用外、つまり自由診療なので儲けが可能です。クリニックは自費診療に持っていきたいのが本音だと思います。

早漏改善に効果的な方法

ーー最後に、今井先生が考える早漏改善に効果的な方法を教えてください。

今井:まずは、「普段のマスターベーションでの訓練」を怠らないことですね。先ほどお伝えした「STOP- START法」を、あぐらなど、脚をリラックスさせた状態で行ってください。

特に、普段脚ピンで射精している人は、脚ピンをやめるだけでも改善すると思います。脚を開き力を抜いて骨盤底筋がゆるんだ状態で、肛門を締める力のみで射精を我慢する練習をしましょう。

ーー脚ピンは膣内射精障害の原因にも挙げられますが、早漏と遅漏両方に関係しているということなのでしょうか?

今井:はい、脚ピンが早漏の原因になる理由は、骨盤底筋が収縮して勃起の硬さも増し、射精反応を惹起しやすくなるからだと考えられます。
一方、遅漏や膣内射精障害の原因になる理由は、脚ピンの姿勢じゃないと射精できない状態になってしまうからです。セックス中に男性が脚ピンするのは難しいため、遅漏になってしまうということですね。どちらの場合にせよ、「脚ピンはやめるべき」ということですね。

〈参考〉 適切なマスターベーションの方法

また、TENGAヘルスケアのトレーニングアイテムでの練習も良いと思いますよ。射精感の高まりをキープしながら、いつでもいける状態を保ちましょう。

〈参考〉 早漏トレーニングは専用アイテムで 選び方や使い分けのコツを紹介

早漏 対策 グッズ TENGA

ーー普段のマスターベーションでのトレーニングはわかりましたが、セックス中の注意点はいかがでしょうか?

今井:セックスにおいては、
①射精感の高まりを感じたら、骨盤底筋を意識的にリラックスさせ過緊張しないようにする。
②高まりを感じたら①と合せ、脚を開きリラックスする(脚ピンの習慣がある方は特に)
③興奮し過ぎているなと思ったら、興奮に水をさすように、萎えることを頭に浮かべる。
④コンドームを装着する。場合によっては勃起薬(PDE5阻害薬)の服用もオススメです。

〈参考〉 早漏対策に勃起薬!?勃起薬の意外な効果を解説

 ーーとてもよくわかりました!早漏と包茎の関係性だけでなく、他にもたくさん興味深いお話が聞けたので、またじっくりお話を伺えたらと思います!今井先生、本日は、早漏と包茎の関係性について教えてくださり、ありがとうございました。

今井:ありがとうございました。悩める男子のためなら何でも協力しますよ!

まとめ:包茎と早漏はあまり関係がない 

包茎は早漏の原因だ!」と思い込んでいた方は、これらにあまり関係がないことがお分かりいただけましたでしょうか。早漏でお悩みの方には、今回のインタビューを参考に、適切な方法で改善に取り組んで頂ければと思います。

また、どうしても自分のペニスに違和感や悩みがある場合は、オンライン相談もあるので活用してください。

 〈参考〉 早漏/遅漏の克服へ 専門医へのオンライン相談(カウンセリング)



福田眞央 TENGAヘルスケア
<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 教育事業部スタッフ
福田 眞央(ふくだ まお)
平成6年生まれ。保健体育科教員として高等学校に勤めた後に大学院に入り、ジェンダー学・性教育を専攻。2021年より株式会社TENGAヘルスケアにスタッフとして携わり、主に性教育WEBサイト「セイシル」を活用した教材作成に取り組む。
みなさんの心と身体の健康をサポートできるような情報を発信していきます!

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