2021.07.31

男性更年期障害、LOH症候群とは?

「更年期障害」と聞くと女性のイメージがありますが、男性にも更年期障害があることをご存じでしょうか?今回は、男性なら誰にでも起こりうる「男性更年期障害」と、その原因となる「LOH症候群」について解説していきます。</span >

目次

男性更年期障害とLOH症候群とは
LOH症候群/男性更年期障害の症状
LOH症候群の診断
LOH症候群/男性更年期障害の治療
 生活習慣の改善
 テストステロン補充療法
 テストフェンサプリメント
まとめ:40歳を過ぎたらLOH症候群に注意しよう

男性更年期障害とLOH症候群とは

男性更年期障害</span >とは、体がだるい、気分が落ち込みやすい、集中力の低下、イライラする、といった症状が生じた状態を指します。女性の更年期障害の男性版、と考えてさしつかえありません。

一方LOH症候群</span >とは、late-onset
hypogonadism(加齢性男性性腺機能低下症候群)の略で、「加齢に伴う血中男性ホルモン(テストステロン)の低下に基づく生化学的な症候群」と定義されています[1]。加齢によって血中のテストステロンが低下した状態だと考えてください。</span >

テストステロンは、筋力や骨密度、認知機能、幸福感、性欲、勃起機能などに関係しており、“やる気” と </span >“元気”
の源となるホルモンです。LOH症候群ではテストステロンの量が低下するため、男性更年期障害の原因になります。国内のLOH症候群の潜在患者数は約600万人で、早ければ40代でも発症すると言われています[2]。</span >

男性更年期障害は、テストステロンの低下以外の要因もあるため、LOH症候群と男性更年期障害は異なるものですが、同義として扱われる場合も多くあります。本記事でも、この二つは同義として解説していきます。</span >

LOH症候群/男性更年期障害の症状

LOH症候群/男性更年期障害では、テストステロンの低下によって、以下の症状が現れます([3]より引用)。

  1. リビドー(性欲)と勃起能の質と頻度,とりわけ夜間睡眠時勃起の減退
  2. 知的活動,認知力,見当識の低下および疲労感,抑うつ,短気などに伴う気分変調
  3. 睡眠障害
  4. 筋容量と筋力低下による除脂肪体重の減少
  5. 内臓脂肪の増加
  6. 体毛と皮膚の変化
  7. 骨減少症と骨粗鬆症に伴う骨塩量の低下と骨折のリスク増加

これらの症状は、男性のQOL(生活の質)を著しく低下させ、うつ病の原因にもなります。

女性の場合、閉経前後の10年間で女性ホルモンが一気に低下するため、一般的に更年期障害の症状はその期間に生じ、その後はおさまっていきます。

一方、</span >男性更年期障害の場合、男性ホルモンの減少は40代以降徐々に進行するため、症状がおさまることはなく、放置していると不快な状態がいつまでも続きます。結果、寿命の低下にも繋がります。</span ></strong >

LOH症候群の症状が出た場合、歳だからと諦めずに積極的に治療するべきでしょう。

LOH症候群の診断

LOH症候群の診断/評価は、血中のテストステロンの量、及び質問票によって行われます。

前者は「遊離型テストステロン値」</span >と呼ばれ、医療機関で検査することができます。

この値によって、LOH症候群は以下のように評価されます[3]。

  • 11.8 pg/ml以上:正常
  • 8.5~11.8 pg/ml未満:治療対象
  • 8.5 pg/ml未満:積極的治療対象

一方後者は、「AMS(Aging Males Symptoms)質問票」</span >と呼ばれ、LOH症候群の診断で世界的に使用される質問票です。

自分がLOH症候群か気になる方は、合計点数をチェックしてみましょう。

症状 なし 軽い 中等度 重い 非常に重い
点数 1 2 3 4 5
1 総合的に調子が思わしくない (健康状態, 本人自身の感じ方)
2 関節や筋肉に痛み (腰痛, 関節痛, 手足の痛み, 背中の痛み)
3 ひどい発汗 (思いがけず突然汗が出る, 緊張や運動とは関係なくほてる)
4 睡眠の悩み (寝つきが悪い, ぐっすり眠れない, 寝起きが早く疲れが取れない, 浅い睡眠, 眠れない)
5 よく眠くなる, しばしば疲れを感じる
6 いらいらする (当たり散らす, 些細なことにすぐ腹を立てる, 不機嫌になる)
7 神経質になった (緊張しやすい, 精神的に落ち着かない, じっとしていられない)
8 不安感(パニック状態になる)
9 体の疲労や行動力の減退 (全般的な行動力の低下, 活動の減少, 余暇活動に興味がない, 達成感がない, 自分をせかせないと何もしない)
10 筋力の低下
11 憂うつな気分 (落ち込み, 悲しみ, 涙もろい, 意欲がわかない, 気分のむら, 無用感)
12 「絶頂期は過ぎた」と感じる
13 力尽きた, どん底にいると感じる
14 ひげの伸びが遅くなった
15 性的能力の衰え
16 早朝勃起(朝立ち)の回数の減少
17 性欲の低下(セックスが楽しくない, 性交の欲求がおきない)

[訴えの程度 17~26点:なし, 27~36点:軽度, 37~49点:中等度, 50点以上:重度]

50点以上だった方は、すぐにメンズヘルス外来や男性更年期外来のある、泌尿器科への受診をオススメします。

LOH症候群/男性更年期障害の治療

LOH症候群/男性更年期障害は、テストステロンの量の低下が原因のため、テストステロンが増えると改善されます。以下に治療法や対策法を紹介します。

生活習慣の改善

テストステロンは精巣(睾丸)で製造されますが、脳が強いストレスを感じると、テストステロンの製造を抑制するホルモンが分泌されてしまいます。なので、</span >ストレスの少ない生活を心がけることが、LOH症候群の予防や対策になります。</span >以下の5点に注意し、生活習慣を見直してみましょう[2]。

1. 十分な睡眠

十分な睡眠によってテストステロン値は高くなり、逆に睡眠時間が短い人はテストステロン値が低いことが報告されています[4]。

2. タンパク質と抗酸化物質の摂取

テストステロン値の向上のためには、肉や魚など、タンパク質の摂取が重要です。また、酸化ストレスの影響で精巣の機能が低下するため、抗酸化物質も積極的に摂取しましょう。

<参考>
妊活中の食事は抗酸化が大切?男女共に心がけたい、抗酸化を意識した食活習

3. 適度な運動

適度な運動によってテストステロン値が上昇することが報告されています[5]。

逆に肥満(BMI25以上)の男性はテストステロン値が低いという報告もあります[6]。

4. よく遊ぶこと

友人と遊んでストレスを解消したり、習い事で新たな刺激を得ることは、テストステロンの増加に繋がると考えられます。活動的な毎日を過ごすことが大切です。

テストステロン補充療法

低下したテストステロンを、外部から補充する方法です。

血中の遊離型テストステロン値が8.5 pg/ml未満(場合によっては11.8 pg/ml未満)の患者には、よく適用されます。

日本では、筋肉注射による補充と、軟膏による皮膚からの補充の2種類が行われます。

注射の場合、2~4週間に一度の補充を継続的に実施し、約3ヵ月毎に血中のテストステロン値をモニターしていきます。実施を検討する場合、まずは医療機関に相談し、血中テストステロン値の測定を行うようにしましょう。</span >

軟膏の場合、1日1~2回、陰嚢や耳下、顎下への塗布が行われます。医療機関、または取り扱いのある薬局(薬剤師)に相談の上、実施するようにしましょう。

テストステロン補充療法 グローミン 男性ホルモン 妊活

グローミン🄬([7]より引用)

テストフェンサプリメント

テストステロンを増やしたい場合、亜鉛、マカ、アルギニン、シトルリンを含んだサプリメントが採用される場合がありますが、中でもオススメなのが</span >「テストフェン」</span >です。

テストフェンは、フェヌグリークと呼ばれるハーブの種子から抽出した物質で、一定期間の摂取によって、血中テストステロン値の増加や、LOH症候群の改善が報告されています[8][9]。</span >

実際、43~75歳の男性111名を、テストフェンを1日600 mg 合計12週間摂取する群と、プラセボ群に分けて比較したところ、</span >LOH症候群の重症度を表すAMSスコアが、テストフェン摂取群で大きく減少していることが確認されました</span >[9]。

AMSでは26点以下は「症状なし」と判定されますが、テストフェン摂取群ではほぼその26点付近まで点数が下がり、症状の改善が伺えます。

テストフェン 男性更年期障害 LOH症候群 改善

([9]より改変)

また、朝勃ちや性交頻度も増加しており、「性的機能」と「性的な “やる気”」の両方が改善されていることが分かります[9]。

テストフェン 朝立ち 性交頻度 改善

([9]より改変)

サプリメントでLOH症候群の対策をする場合、テストフェンを含んだサプリを試してみると良いでしょう。

<参考>
男性の活力と自信をサポート 日本初・国産マカを配合した「活力支援サプリ」

まとめ:40歳を過ぎたらLOH症候群に注意しよう

LOH症候群は、40歳を過ぎた男性なら誰にでも起こりえます。一度発症すると自然には回復しづらいため、適切な対策と治療が重要です。テストステロン値を維持し、ぜひ生涯活力に満ちた人生を送ってください。</span >

 

【参考/出典元】
[1]辻村晃, 男性更年期障害の診断, 日医雑誌 第139巻・9号, 2010
[2]伊藤和弘, 大人のためのメンズヘルス読本, 日経BP社, 2016年
[3]日本泌尿器科学会/日本Men’s Health医学会「LOH 症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会, 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き, 2007
[4]Schmid, S. M., Hallschmid, M., Jauch‐Chara, K., Lehnert, H., & Schultes, B. (2012). Sleep timing may modulate the effect of sleep loss on testosterone. Clinical endocrinology, 77(5),
749-754.</a ></span >
[5]
Zmuda, Joseph M., Paul D. Thompson, and Stephen J. Winters. "Exercise increases serum testosterone and sex hormone—binding globulin levels in older men." Metabolism 45.8 (1996): 935-939.</a ></span >
[6]
Dhindsa, Sandeep, et al. "Testosterone concentrations in diabetic and nondiabetic obese men." Diabetes care 33.6 (2010): 1186-1192.</a ></span >
[7]
大東製薬工業株式会社, 男性ホルモンクリーム剤 グローミン🄬
[8]
Wankhede, Sachin, Vishwaraman Mohan, and Prasad Thakurdesai. "Beneficial effects of fenugreek glycoside supplementation in male subjects during resistance training: a randomized controlled
pilot study." Journal of Sport and Health Science 5.2 (2016): 176-182.</a ></span >
[9]
Rao, Amanda, et al. "Testofen, a specialised Trigonella foenum-graecum seed extract reduces age-related symptoms of androgen decrease, increases testosterone levels and improves sexual
function in healthy aging males in a double-blind randomised clinical study." The Aging Male 19.2 (2016): 134-142.</a ></span >

 

<この記事の監修> 福元メンズヘルスクリニック 院長 福元 和彦(医師) ■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医
福元メンズヘルスクリニック

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任 牛場 栄之(うしば ひでゆき) 平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
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