膀胱周りのお悩みに　有効成分紹介

「夜トイレで目が覚める」「間に合わずに漏らしてしまう」といった膀胱周りのトラブルについて、今回はサプリによる対処法を紹介します。有効成分とその効果を紹介するので、気になる方は参考にしてください。

目次

女性の膀胱トラブルの原因
膀胱トラブル対策の有効成分
　有効成分①ペポカボチャ種子抽出物と大豆イソフラボン
　有効成分②ボタンボウフウ由来イソサミジンエキス
まとめ：膀胱トラブルには骨盤底筋トレーニングとサプリを

女性の膀胱トラブルの原因

女性の膀胱トラブルの主要因は、骨盤底筋の筋力低下と、過活動膀胱（異常収縮）です。前者は腹圧性尿失禁に、後者は尿意切迫感を生じさせ、これが頻尿や切迫性尿失禁に繋がります。これらは妊娠や出産、加齢、ホルモンバランスの変化（更年期）によって生じます。

＜参考＞女性の尿失禁の種類

膀胱トラブル対策の有効成分

女性の膀胱トラブル対策の基本戦略は、骨盤底筋トレーニングによる、骨盤底筋の筋力向上です。骨盤底筋トレーニングは、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁（過活動膀胱）の両方に効果があります。これに加え、膀胱含め、骨盤底の組織をしなやかに保つ成分が摂取できると、より良い対策になります。

＜参考＞女性の骨盤底筋トレーニング

有効成分①ペポカボチャ種子抽出物と大豆イソフラボン

最初に紹介するのが、ペポカボチャ種子抽出物と大豆イソフラボンです。

膀胱トラブルの原因の一つに、女性ホルモンの減少が挙げられます。特に更年期で女性ホルモンが減少すると、骨盤底筋や膀胱、尿道、膣といった組織の粘膜が薄くなり、柔軟性も失われていきます。これらの組織は、骨盤底部で互いに支え合うことで機能しているため、バランスが崩れることで膀胱トラブルに繋がります。

ペポカボチャ種子抽出物と大豆イソフラボンには、女性ホルモンに似た働きを持つ成分が含まれています。この成分によって、骨盤底筋や周辺組織をしなやかに保つ効果があると考えられ、臨床研究でもその効果が報告されています[1]。

（左上）日中排尿回数の変化（右上）夜間排尿回数の変化（下）失禁回数の変化（[2]より改変）

上記は、52-86歳の閉経後女性39名に、ペポカボチャ種子抽出物と大豆イソフラボンの混合サプリメントを6週間摂取してもらった際の、日中と夜間の排尿回数、および失禁回数の変化を表しています。1日の摂取量は、ペポカボチャ種子抽出物が1-2週目：875 mg、3-6週目：525 mg、大豆イソフラボンが1-2週目：50 mg、3-6週目：30 mgです。日中夜間共に、排尿頻度が有意に減少しており、頻尿の改善効果が見られます。また、失禁症状がある被験者においては、失禁改善効果も見られました。

腹圧性尿失禁患者の日中の尿失禁回数の変化（[3]より改変）

また上記は、35-84歳の腹圧性尿失禁を有する女性48名に対し、同量のサプリメントを同期間摂取してもらった際の、日中の尿失禁回数の変化です。サプリ服用前の失禁頻度によらず、失禁回数が有意に減少していることが分かります。この結果から、頻尿だけでなく、腹圧性尿失禁に対しても改善効果があることが伺えます。

上記二つは女性被験者での報告ですが、このサプリメントの摂取（同量同期間）によって、男性被験者でも、夜間の排尿回数の有意な減少が報告されています[4]。

有効成分②ボタンボウフウ由来イソサミジンエキス

次に紹介する有効成分は、ボタンボウフウエキスです。
ボタンボウフウの中でも、屋久島原産のボタンボウフウには「イソサミジン」と呼ばれる成分が含まれており、この成分が膀胱の緊張を和らげ、尿意切迫感（頻尿）に対する改善効果をもたらすと考えられています。

過活動膀胱患者に対するイソサミジンエキスの効果（p<0.05）（[5]より改変）

上記は、45-83歳の過活動膀胱患者の女性10名を対象に、イソサミジンエキスを1ヵ月間、1日35 mg摂取した際の、排尿量と残尿量の変化です。一度に多くの排尿ができるようになり、排尿後の膀胱内の残尿量が有意に減少していることがわかります。また、別の研究では、イソサミジンエキスによって、ラットの排尿回数が有意に減少したことも報告されています[6]。これらのことから、イソサミジンエキスが膀胱の過緊張を緩和させ、畜尿量と排尿量が増加し、頻尿を改善させることが示唆されます。

また、排尿の自覚症状を数値化したスコアでも、10名中8名で改善が報告されており[5]、
体感と実際の両面で、膀胱の機能向上がもたらされると言えそうです。

まとめ：膀胱トラブルには骨盤底筋トレーニングとサプリを

膀胱トラブルに対する、有効成分を紹介しました。失禁対策の基本は骨盤底筋トレーニングですが、トレーニングと並行して、これらの成分の摂取もオススメです。

サプリで摂取する際は、有効量が含まれていることを確認し、また気になる方は医療機関に相談のうえ、取り入れてみましょう。

＜今回紹介した3成分の有効量＞
・ペポカボチャ種子エキス：525mg / 日
・大豆イソフラボン：30mg / 日
・ボタンボウフウエキス：35mg / 日

【参考文献】
[1]犬山康子著, 頻尿・尿もれを自分で治す方法, 2019, 平原社, 関口由紀監修
[2]曽我部仁史. "薬用ペポカボチャ種子抽出エキスおよび大豆胚芽抽出エキスの混合加工食品の夜間頻尿に対する一般臨床試験." 医学と薬学 46 (2001): 727-738.
[3]柳沢瑛. "薬用ペポカボチャ種子抽出エキスおよび大豆胚芽抽出エキスの混合加工食品の腹圧性尿失禁に対する有用性試験." 医学と薬学 50 (2003): 313-322.
[4]寺戸隆. "食用ペポカボチャ種子抽出エキスおよび大豆胚芽抽出エキスの混合加工食品の夜間頻尿に対する一般臨床試験." 医学と薬学 52 (2004): 551-561.
[5]タカラバイオ株式会社 . “ニュースリリース” . ボタンボウフウ由来イソサミジンエキスに排尿障害改善作用を確認
[6]タカラバイオ株式会社 . “ニュースリリース” . 屋久島原産のボタンボウフウに排尿機能の改善作用があることを確認 .

＜著者プロフィール＞
TENGAヘルスケア　研究開発主任
牛場 栄之（うしば ひでゆき）
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします！