2023.06.01

膣内環境チェック デリケートゾーンの状態を知ろう!

​​注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。

女性の膣内には常在菌として乳酸菌が存在しており、膣内を酸性に保っています。
膣内の乳酸菌が減少すると、このバランスが崩れ、様々なトラブルの原因となります。
しかしながら、膣内を直接目で見て確認することは難しく、膣内の状態を知るのは容易ではありません。
今回のコラムでは、そんな膣内の状態を手軽にチェックする方法をご紹介します。デリケートゾーンにお悩みがある方はぜひ参考にしてください。

目次

膣内フローラと乳酸菌
膣内の乳酸菌が減るとどうなる?
膣内フローラを知るためには?
膣内フローラセルフチェック①おりものの状態を見る
膣内フローラセルフチェック②pH測定
まとめ:膣内環境を知ってデリケートゾーンケアを

膣内フローラと乳酸菌

女性の膣内には主に「デーデルライン桿菌」と呼ばれるラクトバチルス属の乳酸菌
が常在菌として存在しており、「膣内フローラ」という細菌叢を形成しています。一般的に膣内は酸性に保たれていることが望ましいとされています。

〈参考〉 デリケートゾーンケアには乳酸菌?「膣内フローラ」について解説

膣内の乳酸菌が減るとどうなる?

膣内の乳酸菌が何らかの原因で減少すると、膣内の酸性が弱まります。
膣内の細菌のバランス(膣内フローラ)が崩れると、さまざまな良くない影響があると言われており、約20~30%の女性は膣内フローラが乱れていると言われています[1]。

そのような状態でも、特徴的なトラブルが見られない場合も多々あります。ただ、何もトラブルが起きていないからと言ってその状態を放置すると、いつか何かのトラブルに繋がる可能性があるため、膣内フローラを適切に整えておくことは重要と言えるでしょう。

〈参考〉 細菌性膣症とは?その症状や原因を解説

膣内フローラを知るためには?

では、自分の膣内の状態を知るためには、どうすれば良いのでしょうか。

WHO(世界保健機関)が定めたチェックの基準では、下記4項目の内3項目以上を満たした場合に、膣内フローラが乱れているとされています。

  1. 牛乳をこぼしたような薄く均一な膣分泌物がある
  2. 膣分泌物に 10%の KOH (苛性カリ)を添加するとアミン臭(魚の腐った匂い)がする
  3. 膣分泌物の pH が 4.5 以上
  4. 膣分泌物の生殖標本で多数の細菌に覆われている上皮細胞(クルー細胞)が観察される

上記の項目を個人がチェックするのは難しいため、気になる方は医療機関へ相談しましょう。
ただ、日々の生活の中で、自分の膣内フローラを気にかけ、簡易的にでもチェックすることは重要です。その気付きが、医療機関への受診に繋がることもあるでしょう。

セルフチェックは、以下の二つの観点で見ていくと良いでしょう。

膣内フローラセルフチェック①おりものの状態を見る

おりものの状態を見ることで、膣内フローラをセルフチェックすることができます。
正常なおりものは、一般的には少し酸っぱい匂いがあり、透明に近い白の状態です。
おりものの状態には個人差があるため、自分にとっての正常な状態を普段から把握しておくことが大切です。

おりものの異常(粘り気がなくサラサラしている、量が増える、灰色や白色になる、魚が腐ったような悪臭など)を感じたら、膣内フローラが乱れている可能性があります。

膣内フローラセルフチェック②pH測定

おりものチェック以外にも、膣分泌物のpHをチェックする方法があります。

pHとは、液体の酸性~中性~アルカリ性の度合いを表す指標です。pHには0~14の範囲があり、0に近づくほど酸性、14に近づくほどアルカリ性、7が中性となります。

先述のWHOの基準「③膣分泌物の pH が 4.5 以上(だと良くない)」に照らすと、乳酸菌によって膣内が適切に酸性に保たれている場合、pHは4.5未満ということになり、ここを一つの目安にすることができます。

pH 測定 膣内環境 酸性 

自宅でpHを測定する場合、pH試験紙と清潔な綿棒を用意しましょう。pHは4.5以上か未満かが分かれば良いので、その付近を測定できる試験紙があればOKです。

測定の前に手は清潔にしておきましょう。綿棒を挿入し、数回回転させて膣分泌液を採取します。綿棒に水分が十分取れたら、pH試験紙に軽く転がすように塗布することで試験紙の色が変化します。通常、pH試験紙にはカラーチャートが付属されているので、それと比較して自分のpHを確認できます。
基準値の4.5(未満であること)を目安として、チェックしてみましょう!

<pH測定のコツと注意点>
・清潔な手、環境で測定する。
・痛みを感じた場合は無理に行わない。
・通常、試験紙は強くこすると測定部分が剥がれてしまうので、塗る際は軽く転がすように行う。
・月経がある場合、測定は卵胞期がオススメ。黄体期は若干pHが高くなる。
・月経期間中や、シャワー/入浴後、性交後、マスターベーション後は、正確に測定できない可能性があるので避ける。

※pH試験紙による測定は医学的判断をするものではなく、あくまで一つの目安です。最終的には医師の確認を仰ぎましょう。

まとめ:膣内環境を知ってデリケートゾーンケアを

今回のコラムでは膣内フローラとそのチェックの方法についてご紹介しました。膣内環境を把握することは、デリケートゾーンの状態維持のために非常に重要です。異変に気付いた際は医療機関を受診すること、また日々適切なケアを行うことを意識していきましょう。

 

【参考文献】
[1]Peebles K, Velloza J, Balkus JE, McClelland RS, Barnabas RV. High Global Burden and Costs of Bacterial Vaginosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sex Transm Dis. 2019 May;46(5):304-311
[2]性感染症診断・治療ガイドライン2016. 日本性感染症学会誌. 2016. Vol.27, No1 Supp. P77-80.
[3] テイジンプロバイオ研究所 プロバイオティクス原料 乳酸菌UREX®
[4] テイジンプロバイオ研究所 女性の健康×菌×不調

 

​​〈著者プロフィール〉
TENGAヘルスケア 広報担当
原田 樹(はらだ いつき)
1995年広島県生まれ。大学では幼児教育学科で保育を専攻。保育士として1年半勤務したのち、広告代理店に転職。タブー視されている性の話題について深く掘り下げたいと感じ、2022年に株式会社TENGAへ入社。現在は株式会社TENGAヘルスケアの国内PR業務を担当。

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