自律神経と男性性機能(勃起・射精)の深い関係
目次
理学療法士 柿澤健太郎の紹介
あるED(勃起障害)患者さんとの出会い
自律神経の乱れと筋肉バランスからくる、EDや早漏、遅漏の関係について
自律神経の役割って?
自律神経の乱れと「勃起と射精」の関係
自律神経の乱れをケアする方法とは
まとめ
理学療法士 柿澤健太郎の紹介
皆さま、はじめまして!これから記事を連載させて頂く理学療法士の柿澤健太郎と申します。理学療法士として14年間、整形外科病院で肩こり、腰痛、骨折、スポーツ障害などの怪我や手術後の方を、リハビリで担当してきました。
下は5歳、上は100歳の年代で急性期〜慢性期と幅広い方に10,000回以上経験し「より近い距離で患者さんに治療がしたい」という思いで、個人治療院を2023年4月に開業しました。
心と体は自律神経の観点からも繋がっているという学びから、自律神経に関する書籍を出版し、多くの患者さんの悩みを手助けしています。
こちらの記事では「ED(勃起障害)、早漏、遅漏、膣内射精障害」などの、性の悩みと深い関係がある「自律神経」について理学療法士目線でお伝えしていきます。
改善例や実際のセルフケアの方法もお伝えしていきますので、一緒に実践して性に関する悩みを解決していきましょう!
あるED(勃起障害)患者さんとの出会い
15万人以上いる理学療法士の中で「性機能分野」で活動する理学療法士は少ないです。理学療法士は体の痛みや不調を、筋肉や関節・バランス・体のクセから読み解く、動作分析を得意としています。
ある時、体の痛みが解消された後に心を開いてくださった患者さんから「先生、おかげさまで体の不調が改善しました。しかし、まだ悩みがあって、実は妻との営みの中で勃たなくなってしまったんです。」という悩みを打ち明けてくださいました。
これまで施術の知識や技術を身につける中で、「勃起と射精」には自律神経の乱れの改善と、勃起筋と呼ばれる骨盤底筋との関わりが重要だということは分かっていました。
しかし、実際のところ、性機能への介入はしたことがありませんでした。心を開いてくださった患者さんのためにどうにか力になりたいと思い、そこから解剖学、生理学、脳科学の観点から介入を行い、「自律神経と性機能」について専門的に勉強を始めました。
患者さんとの二人三脚での介入を行うことで、EDスコア(SHIMスコア、EHSスコア)、遅漏・膣内射精障害スコアで大きく改善が見られ、EDの症状も改善されました。今では、パートナーとの関係も前より増して良好になったようです。
この経験から、「男性不妊」や「男性性機能」への可能性を見出し、当分野での機能的改善の確立を目指しています。
自律神経の乱れと筋肉バランスからくる、EDや早漏、遅漏の関係について
「自律神経の乱れ」と「筋肉のバランス」がEDや遅漏早漏に関係するの?そう考えられる方は多いかと思います。
実はこれらは密接に関係し合っており、ご自身で改善することが可能です。今回は概要をお伝えして、今後の記事で詳細を紹介していきます。
自律神経の役割って?
勃起と射精のメカニズムには、自律神経が大きく関係しています。
自律神経は、2種類存在しており、交感神経(アクセル)と副交感神経(ブレーキ)があります。
交感神経(アクセル)は「活動の神経」と呼ばれており、日中の仕事中やスポーツの大事な場面で優位に働きます。逆に、副交感神経(ブレーキ)は「休息の神経」と呼ばれ、主にリラックスしている時や寝ている時に優位に働きます。
自律神経は、体を支える縁の下の力持ちの役割があり、私たちが生活する上で、無意識に体の中を正常に保つ働きがあります。例えば、気温が−30℃でも体温は36℃台に保たれているのは、外の気温に対して体を温めようと、自律神経が無意識にコントロールしてくれているおかげです。また、100m走を全力で走った後に、息が上がってしまっても、しばらくすると呼吸が落ち着き、元に戻るのも自律神経の働きの一つです。
他にも、食べ物を食べて胃腸で消化をする、暑いと汗をかき、寒いと体を震わせて体温を維持しようとする等の、普段私たちが「当たり前」にしている体の維持を自律神経が担っており、交感神経(アクセル)と副交感神経(ブレーキ)が1日の生活リズムの中でシーソーのようにバランスを保つことで、私たちの体を健康に維持しています。
自律神経の乱れと「勃起と射精」の関係
それでは「勃起と射精」についてはどうでしょうか。
結論から言うと、勃起は体がリラックスしている「副交感神経が働いている時」に起こり、射精は体が活動的になる「交感神経が働いている時」に起こります。
そのため、日頃の生活で自律神経の乱れがあると、勃起と射精がうまく行えず、結果として、EDや遅漏早漏、膣内射精障害などの性機能の悩みにつながってきます。
例として、普段のマスターベーションや、一緒にいてリラックスできるパートナーとの行為は問題なく行えるのに、初めての人との行為や、緊張する場面では勃たない、という経験がある方もいるかと思います。
これは精神的に緊張することで、交感神経が優位となり、勃起を妨げていることが考えられます。
自律神経の乱れをケアする方法とは
自律神経の乱れをケアするためには、いくつかのアプローチ方法があります。
ポイントは、「思考法(ストレスマネジメント)」「ストレッチ(背骨の柔軟性の獲得)」「生活習慣の改善」の3つです。
それぞれ、
思考法(ストレスマネジメント) →視床下部 ストレッチ(背骨の柔軟性の獲得) →脊柱 生活習慣の改善 →内臓や循環、免疫機能の改善 |
と関係しています。
詳細は、今後掲載する記事で紹介していきます。性機能の悩み改善は、自律神経を始め、広い視点から体のケアを行うことで、症状の改善を実感することができます。
まとめ
ED(勃起障害)、早漏や遅漏、膣内射精障害などの性機能障害は、多岐にわたる体のメカニズムが重なって起きていることが多いです。
理学療法士的な観点で、体の解剖学、運動学、生理学、脳科学と原因を細かく紐解き、改善していくことで、多くの方の悩みが解消できると実感しています。
今後の記事では、医学的知見に基づいたご自身で行えるセルフケアをご紹介していきます。少しでも性機能の改善に貢献できれば嬉しく思います!
〈著者プロフィール〉
理学療法士 柿澤 健太郎
ある患者さんから「先生だから話すけど、実はEDで悩んでるんだ」と打ち明けられたことをきっかけに、性機能障害へのアプローチ方法を必死に勉強。結果、患者さんのEDを改善させることに成功し、「これは多くの人を救える」と考え、性に悩む男性の希望になるべく治療院を開業。睾丸マッサージをはじめとした、自律神経、体のゆがみの観点から性機能障害にアプローチしている。夢は睾丸マッサージの全国展開。昭和63年生まれ。
勃起薬も試してみよう
自律神経を整えても勃起力に不安のある方は、まず勃起薬の服用を試してみるのも良いでしょう。
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勃起薬はED治療の第一選択肢です。ご興味のある方は、この機会にぜひ検討してみましょう。