2023.06.01

細菌性膣症とは?その症状や原因を解説 

​​注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。

おりものの異常やデリケートゾーンのかゆみなどの症状にお悩みではありませんか?
もしかしたら、それらは「細菌性膣症」の症状かもしれません。細菌性膣症は、20~30%の女性が経験するとも言われている[1]、女性にとって身近な感染症の一つです。
今回のコラムでは細菌性膣症の症状や原因、改善策について詳しく解説します。

目次

細菌性膣症とは
細菌性膣症の診断方法
細菌性膣症のリスクと症状
細菌性膣症の原因
 原因①膣内の洗浄のしすぎ
 原因②ストレスや生活習慣の乱れなど
 原因③過度または不衛生な性交渉
細菌性膣症の治療方法
細菌性膣症の予防方法
 ①細菌性膣症の原因行動を避ける
 ②サプリなどで乳酸菌を摂取する
まとめ:健やかなデリケートゾーンのために

細菌性膣症とは

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細菌性膣症とは、膣内環境の乱れによって発症する疾患の一つです。

何らかの原因で膣内の乳酸菌が減少すると、膣の自浄作用が正常に機能しなくなり、有害な細菌(悪玉菌)が異常に増殖してしまいます。この、有害な細菌が増殖した状態を「細菌性膣症」と呼びます。

また、約20~30%の女性が細菌性膣症に罹患していると言われていますが[1]、罹患者の半数以上は無症状だという報告も存在します[2]
無症状の場合、細菌性膣症を発症していることに気がつかない場合も多く、放置すると他の病気のリスクが高まる危険性があります。

細菌性膣症の診断方法

WHO(世界保健機関)が定めた細菌性膣症の診断基準では、下記4項目の内3項目以上を満たす場合とされています。

  1. 牛乳をこぼしたような薄く均一な膣分泌物がある。
  2. 膣分泌物に 10%の KOH (苛性カリ)を添加するとアミン臭(魚の腐った匂い)がする。
  3. 膣分泌物の pH が 4.5 以上。
  4. 膣分泌物の生殖標本で多数の細菌に覆われている上皮細胞(クルー細胞)が観察される。

細菌性膣症のリスクと症状

細菌性膣症を発症した場合、下記のような症状のリスクが高まります[3]。

  • おりものの異常(粘り気がなくサラサラしている、量が増える、灰色や白色になる、悪臭など)
  • 外陰部のかゆみ、腫れ
  • 膣内のカンジダ菌の活動が活発になり、カンジダ性膣炎が発症する
  • 細菌による膣内の炎症により、性感染症のリスクが増加する
  • 膣内の雑菌が膀胱に侵入し、膀胱炎の原因となる
  • 膣内の雑菌が子宮に上昇し、子宮内膜炎や卵管炎の原因となる
  • 妊娠中の場合、早産のリスクが増加する

細菌性腟症は自然に治る場合もありますが、再発も多くみられます。
おりものの異常とあなどっていると、より重度の疾患に繋がる可能性があるため、異常を感じた場合は、適切に医療機関を受診しましょう。

細菌性膣症の原因

細菌性膣症は、膣内の乳酸菌の減少によって引き起こされます。

女性の膣内には主に「デーデルライン桿菌」と呼ばれているラクトバチルス属の乳酸菌が存在し、「膣内フローラ」という細菌叢を形成しています。膣内フローラは、膣内環境を酸性に保ち、雑菌などの繁殖を防ぐ働きがあります。

〈参考〉 デリケートゾーンケアには乳酸菌?「膣内フローラ」について解説

特に下記の3つは、膣内フローラのバランスを崩す可能性があり、細菌性膣症の原因となり得ます。

原因①膣の洗浄のしすぎ

膣内の過度な洗浄は、膣内環境のバランスを崩してしまう行動の一つです。
刺激の強い洗浄剤や石鹸などで膣内を洗う、膣内をシャワーで洗い流すなどは、膣内の乳酸菌まで洗い流してしまうため、膣内フローラのバランスが崩れてしまいます。

原因②ストレスや生活習慣の乱れなど

日常生活におけるストレスや忙しさ、睡眠不足なども細菌性膣症の原因となります。
体の免疫力が低下してしまうことで膣内フローラのバランスが乱れ、膣内の雑菌の繁殖に繋がります。

原因③過度または不衛生な性交渉

過度な性交渉も細菌性膣症の原因となります。膣の自浄作用が回復するまでの間に頻繫に性行為を行うと、細菌性膣症に繋がると考えられます[4][5]。

また、手を洗わずに陰部を触るなど、不衛生な性行為、またはマスターベーションも雑菌が膣内に侵入する原因であり、細菌性膣症のリスクとなります。

細菌性膣症の治療方法

細菌性膣症の症状を感じた場合は、適切な医療機関を早めに受診することが大切です。

細菌性膣症の一般的な治療方法としては、膣内の洗浄を行ったり、抗菌剤の膣錠や、膣内の善玉菌を増殖させる働きのある乳酸菌の膣錠を挿入したりすることで、治療を行います。

細菌性膣症の症状以外も併発している場合や、細菌性膣症の原因となるような生活習慣が改善されないと、治療に時間がかかったり再発を繰り返しやすくなるため、注意が必要です。

細菌性膣症の予防方法

細菌性膣症は、適切な行動で発症のリスクを下げることができます。

①細菌性膣症の原因行動を避ける

まず第一に、上で述べたような細菌性膣症の原因行動を避け、膣内フローラのバランスを適切に保ちましょう。具体的には、

  • デリケートゾーンを洗浄する際は膣内に触れず、優しく外部の汚れを取り除く程度に留める
  • 心理的ストレスを避け、十分な睡眠時間を確保するなど、生活習慣を見直す
  • 体調が不安定な時の過度な性交渉、不衛生な性交渉やマスターベーションは避ける

上記のような行動を心がけることで、細菌性膣症を予防することができます。

②サプリなどで乳酸菌を摂取する

細菌性膣症は膣内の乳酸菌の減少により引き起こされるため、サプリメント等による乳酸菌の摂取も、予防に効果的です。

乳酸菌 ラクトバチルス属

乳酸菌 ラクトバチルス属

このとき重要なのは、膣に定着しやすいタイプの乳酸菌を摂取することです。乳酸菌にはさまざまな種類があり、ヨーグルトなどは「腸内環境に良い乳酸菌」ですが、それらは膣内環境の改善に最適ではありません。
膣に定着しやすい乳酸菌については、以下を参考にしてください。

〈参考〉 乳酸菌UREX®とは

まとめ:健やかなデリケートゾーンのために

今回のコラムでは細菌性膣症のリスクや原因について紹介しました。
細菌性膣症は女性にとって身近な感染症であり、他の病気のリスクも高める原因にもなります。細菌性膣症について知ることで、デリケートゾーンのケアについてより理解が深まり、さまざまなトラブルからも身を守ることに繋がります。
今回紹介した内容を参考にすることで、みなさんが健やかな膣内環境を得られることを願っています。

 

【参考文献】
[1]Peebles K, Velloza J, Balkus JE, McClelland RS, Barnabas RV. High Global Burden and Costs of Bacterial Vaginosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sex Transm Dis. 2019 May;46(5):304-311
[2]Klebanoff MA, Schwebke JR, Zhang J, Nansel TR, Yu KF, Andrews WW. Vulvovaginal symptoms in women with bacterial vaginosis. Obstet Gynecol. 2004 Aug;104(2):267-72.
[3]性感染症診断・治療ガイドライン2016. 日本性感染症学会誌. 2016. Vol.27, No1 Supp. P77-80.
[4] Vallor, A.C., Antonio, M.A., Hawes, S.E. et al. Factors associated with acquisition of, or persistent colonization by, vaginal lactobacilli: role of hydrogen peroxide production. J. Infect. Dis. 2001; 184: 1431–1436.
[5] Verstraelen, H., Verhelst, R., Vaneechoutte, M. et al. The epidemiology of bacterial vaginosis in relation to sexual behaviour. BMC Infect. Dis. 2010. 10: 81.

 

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〈著者プロフィール〉
TENGAヘルスケア 広報担当
原田 樹(はらだ いつき)
1995年広島県生まれ。大学では幼児教育学科で保育を専攻。保育士として1年半勤務したのち、広告代理店に転職。タブー視されている性の話題について深く掘り下げたいと感じ、2022年に株式会社TENGAへ入社。現在は株式会社TENGAヘルスケアの国内PR業務を担当。

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