2022.07.09

オナ禁(禁欲)の真実 男性のオナ禁の良し悪しを解説

注)一定期間射精を我慢することは、医学的には「禁欲」と呼ばれ、「オナ禁」は俗称です。本記事では一般性を考慮し、「オナ禁」と「禁欲」の両方の表記を用います。
注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。
男性なら経験がある人も多いオナ禁。オナ禁について、ネット上には様々な書き込みが見られますが、結局のところオナ禁にはどのような効果があるのでしょうか。今回はオナ禁について、科学的な観点から、そのメリットとデメリットを紹介していきます。オナ禁について正しい情報を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

オナ禁(禁欲)とは
オナ禁(禁欲)によるテストステロン(男性ホルモン)の変化
オナ禁(禁欲)と前立腺がん
オナ禁(禁欲)と精子の質
オナ禁(禁欲)と勃起
オナ禁(禁欲)した方が良い場合 オルガズム症候群(POIS)
まとめ:適切なマスターベーションライフのすすめ

オナ禁(禁欲)とは

オナ禁とは、文字通りオナニー(マスターベーション)を意図的に行わないようにすることです。本記事では「マスターベーション、セックスに限らず、一定期間以上射精を行わないこと(つまり禁欲)」と定義します。また、本記事では男性のオナ禁について言及してきます。

オナ禁の効果は、まだまだ解明されていない点が多いため、今回は科学的な検証がなされたトピックに限って解説していきます。

オナ禁(禁欲)によるテストステロン(男性ホルモン)の変化

テストステロンとは、代表的な男性ホルモンの一種で、性欲、勃起、射精、精子形成などに関連する、重要なホルモンです。また男性の元気や活力の源となるホルモンでもあります。

<参考>
男性ホルモンが低下するとどうなる?男性更年期障害、LOH症候群とは?

このテストステロンの血中濃度が、オナ禁(禁欲)によって変化することが報告されています[1]。

オナ禁 禁欲 テストステロン

[1]より引用

この研究では、28名の男性ボランティアに8日間オナ禁(禁欲)をしてもらい、オナ禁中の血中の総テストステロン濃度を毎日測定しました。その結果、オナ禁7日目でテストステロン値が有意に増加(ベースラインの145.7%)し、8日目には元に戻る現象が確認されました。

オナ禁 禁欲 テストステロン

[1]より引用

この研究では、8日目までオナ禁した次点で、被験者を下記の2グループに分けました。

 【グループ1】8日目に一度射精をして、再度8日間禁欲を続ける群
 【グループ2】射精はせず、引き続き8日間禁欲を続ける群

結果、1度射精をしたグループ1では、再度、7日後にテストステロン値が上昇し8日目に元に戻る現象が見られました。一方、オナ禁を続けたグループ2では、テストステロン値の変化は見られませんでした。

つまり、オナ禁すると7日目にテストステロン値が一時的に上昇し8日目には元に戻るが、それ以上オナ禁を続けても再度上がることはない、と言えます。

この一時的なテストステロン濃度の上昇によって、どのようなメリットがあるかは難しい所です。なぜなら、この研究では総テストステロン濃度を測定しましたが、生理的に重要なのは総テストステロンの一部である遊離テストステロンというタイプだからです。しかし、この研究では遊離テストステロンの濃度は測定されていないため、生理的なメリットは不明と言えます。

ただ、学生時代水泳部だった筆者の体験ですが、試合の一週間前からオナ禁をすると、非常に集中力が高い状態で試合に臨めていた記憶があります。逆に、2週間オナ禁した時では、パフォーマンスが低下したことを憶えています。一個人の体験ですが、オナ禁によるテストステロンの上昇が、パフォーマンスに影響している可能性はあるかもしれません。

オナ禁(禁欲)と前立腺がん

前立腺がんは、男性に最も多く見られるがんです。月21回以上射精している男性では、そうでない男性と比較して、この前立腺がん罹患リスクが有意に低いことが報告されています[2]。

オナ禁は前立腺がんのリスクを上昇させると言えるでしょう。

オナ禁(禁欲)と精子の質

禁欲期間が長くなると、精子の質は低下します。詳しくは以下の記事に譲りますが、妊活中は2日に1回以上の射精が推奨されます。

妊活中はオナ禁はせず、積極的に射精するようにしましょう。

<参考>
「精子を増やす7ヵ条」妊活中の男性は実践を

オナ禁(禁欲)と勃起

オナ禁は勃起機能にも影響します。こちらも詳しくは以下の記事に譲りますが、陰茎の内部には海綿体と呼ばれるスポンジ状の組織があり、勃起とは、この海綿体が血液で膨らむ現象です。

<参考>
勃起の仕組み 勃起力の維持方法と朝立ち(朝勃ち)の意義

実際のスポンジで考えると分かりやすいですが、水分を与えず放置していると、スポンジは次第に硬くなっていき、最終的にボロボロになって膨らまなくなります。長期間勃起しなければ、陰茎の海綿体でも同じ現象(線維化と呼ばれます)が起こります。

まだ若く、毎朝しっかりとした朝勃ちがあればまだ大丈夫ですが、そうではない場合、日々勃起することは陰茎のメンテナンスに繋がります。

オナ禁で勃起が疎かにならないよう、注意しましょう。

オナ禁(禁欲)した方が良い場合 オルガズム後症候群(POIS)

「オナ禁で体調が良くなる」という個人の感想レベルの話を耳にすることはありますが、逆に射精後、極度に体調が悪化する病気が存在します。

それが、オルガズム後症候群(Postorgasmic illness syndrome:POIS)です。

<参考>
セックス後の不調、オーガズム後症候群って知っていますか?

POISは世界的に報告が少なく、謎の多い病気ですが、患者は射精後「インフルエンザのような症状が数日発症する」と報告されています[3]。原因は解明されていませんが、自身の精液によるアレルギーという説もあります。射精後に極度の体調不良が頻発する場合、POISの可能性があります。

「もしかして」と思った方は、下記オンライン相談も参考に、性機能専門医へ相談してみましょう。

<参考>
性機能専門医へのオンライン相談

まとめ:適切なマスターベーションライフのすすめ

今回はオナ禁について、科学的側面から解説しました。筆者の見解ですが、最後に紹介したPOISを除き、オナ禁はメリットよりもデメリットが多く、あまりオススメはできません。オナ禁ではよく、「異性にもてる」「筋肉が付きやすくなる」「セックスでのパフォーマンスが上がる」といった点がメリットとして取り上げられることがありますが、これらには科学的な根拠はありません。オナ禁のメリットと言うか、マスターベーションのデメリットがあるとすれば、不適切なマスターベーションで、腟内射精障害になってしまうくらいです。ぜひ適切な方法で、日々のマスターベーションライフを楽しんでください。

<参考>
膣内射精障害のリスク増 危ない!不適切なマスターベーション(オナニー)8選(男性編)

 

【参考/出典元】
[1]Jiang, Ming. "Periodic changes in serum testosterone levels after ejaculation in men." Sheng li xue bao:[Acta Physiologica Sinica] 54.6 (2002): 535-538.
[2]Rider, Jennifer R., et al. "Ejaculation frequency and risk of prostate cancer: updated results with an additional decade of follow-up." European urology 70.6 (2016): 974-982.
[3]Natale, Caleb, et al. "Analysis of the symptomatology, disease course, and treatment of postorgasmic illness syndrome in a large sample." The Journal of Sexual Medicine 17.11 (2020): 2229-2235.

 

<この記事の監修>
福元メンズヘルスクリニック 院長
福元 和彦(医師)
■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医
福元メンズヘルスクリニック

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
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