賢者タイムについて考えよう(前編)〜賢者タイムとは何なのか〜
セックスを終えて「賢者タイム」に突入。この間に、パートナーに対して不満を感じたことはありませんか?
今回はそんなカップルのために、そもそも「賢者タイム」とは何なのかを説明し、パートナー(主に男性)がセックス後に何を考えているかを紹介していきます。
こちらの記事はこんな方にオススメです。
〇「賢者タイム」ってそもそも何なの?
〇セックス後のパートナーの気持ちが知りたい!
目次
賢者タイムとは
無気力になり、何も感じなくなる!?
賢者タイムの長さは人それぞれ
賢者タイムの実例〜とあるカップルの場合〜
賢者タイムに考えること
①好きだけど触られたくない
②とにかく眠たい
③パートナーとの関係性や将来のこと
賢者タイムにされて嫌なこと
①触り続けられる
②態度に対して怒られる
③愛情表現を強要される
まとめ:賢者タイムには個人差がある
賢者タイムとは
「賢者タイム」とは、医学的には射精後の「不応期」と呼ばれていて、一般的には「賢者モード」とも言われます。オーガズムに達した後、急速に性欲が減退し、快感が感じられなくなっている状態を指します[1]。
それがなぜ「賢者」なの?と、疑問を持つ人もいるでしょう。かの有名なメガネの魔法使いが頭に浮かぶ人もいるかもしれませんが、それは違います。この時間は性欲がなくなっていて、冷静で煩悩に惑わされることのない、まるで「賢者のような状態」だからなのです。
主に男性が射精した後に使われる言葉であり、ネット上で生まれた造語ですが、みなさんも耳にしたことがありませんか。意味を知らなかった人が、会社や学校で、「今、賢者タイム!」などと言って、勘違いされていないことを祈ります。
無気力になり、何も感じられなくなる!?
さて、この「賢者タイム」に入ると、人はどうなるのでしょうか。
セックスでオーガズムに達して、賢者タイムに入ると、性欲が減退しているので、無気力になり、触られても何も感じなくなってしまう人が多いです[2]。
その他にも、さまざまな状態に陥ります。状態は人によって異なり、すぐに眠くなったり、何も考えられなくなったり、人と話すことが煩わしく感じたりする人もいます。
賢者タイムの長さは人それぞれ
射精前後でプロラクチンというホルモンの分泌が増加しており、このホルモンによって賢者タイムが引き起こされると言われています[3]。
プロラクチンの分泌量は個人差があるため、賢者タイムがそもそも無いに等しい人もいます。また、賢者タイムがある(プロラクチンの分泌が一定程度ある)人でも、程度や時間の長さはそれぞれです。5〜10分の人もいれば、半日以上続く人もいます。
ちなみに、男性は射精後、極度に体調が悪化する病気(オルガズム後症候群)もあるので、個人差があると言えど、体調不良になるほど重度の賢者タイムの場合は、泌尿器科に相談してください。
<参考>
オルガズム後症候群(POIS)
賢者タイムの実例〜とあるカップルの場合〜
みなさんは、セックス直後に、パートナーと喧嘩をしてしまったり、パートナーのふるまいに不満を感じたりしていませんか?これらの問題は、上記の通り賢者タイムが原因かもしれません。
今回はとあるカップルを一例として、セックス後の過ごし方に対する感じ方の違いを紹介します。二人から「賢者タイム」を学んでいきましょう。
AさんとBさんはTENGA大学のサークルで出会い、付き合って約1年。最近セックス後の振る舞いにお互いが不満を持っているみたいです。
Aさん
Bさん
いかがでしょうか?AさんとBさんは、セックス後の考えが少し異なり、お互いに不満を感じているようですね。このような状態が続いてしまうと、いつかどちらかの不満が爆発して喧嘩になったり、セックスレスの原因になるかもしれません。最悪の場合、破局に繋がる可能性もあります(筆者の周りに実際存在しています。)
上記では、Bさんが、いわゆる「賢者タイム」の状態です。みなさんはAさん、Bさんどちらのタイプに当てはまりますか?
賢者タイムのことを知っている人からすると「ちょっとAさん、Bさんは賢者タイムなんだからそっとしておいてあげなよ」、「いやいや、Bさんは賢者タイムなのかもしれないけど、Aさんの気持ちもわかってあげないと」なんて声が聞こえてきそうですが…
これ、ムズカシイですよね。Aさんの気持ちは理解できますし、Bさんが感じていることも素直な感情だからです。
では、二人はどうすれば良いでしょうか。セックス後に、お互いできるだけ不満のない関係を目指すには、Bさんに訪れている「賢者タイム」を、二人で攻略する必要があります。攻略方法をご紹介する前に、AさんBさん以外にも、様々な状態の賢者タイムがありますので、ご紹介しましょう。
賢者タイムに考えること
①好きだけど触られたくない
セックスが終わるまで求め合っていたはずのパートナーに対して、性的関心をなくしてしまう人が多い賢者タイム。賢者タイム中は感度が低い人がほとんどです。
触れられたとしても、くすぐったい感覚なだけなので、不快に思ってしまいます。誰だって、しつこく触られていると、暑苦しかったり、鬱陶しいと感じたりするので、拒絶するのも理解できますよね…。なので、そっけない態度になってしまったり、嫌な顔が出てしまったりすることがあります。
②とにかく眠たい
これは個人差が大きいですが、オーガズムに達した後、強い眠気を感じて、「眠い…」と考える人もいます。愛おしく思っているパートナーに対してでも、それは同じです。セックスで体力を消耗したことによる疲労感から、「そのまま寝てしまいたい」と考えるそうです(寝る場所でセックスする人がほとんどだと思うので、脳も寝ようとしているかも?)。どっと押し寄せる疲労を回復するために、本能的に寝てしまう人がいるということですね。
ちなみに筆者は女性ですが、セックス後は眠気に襲われ、ピロートークを楽しみたいにも関わらず、すぐに寝てしまいます。経験者は語りますが、風邪を引かないように、せめて下着を着てから寝てくださいね。
③パートナーとの関係性や将来のこと
盛り上がったセックスとは打って変わって、賢者タイムに入ると冷静になり、明日の仕事のことや、日常生活のことを考えてしまいがちです。そのような冷静さの中で、パートナーとの関係性や将来について、あらためて考えている人もいるでしょう。
そのセックスが、愛し合っている者同士のものであれば、パートナーに対しての愛おしさを感じたり、幸福感に浸っている人も多いかもしれません。ぼーっとして、何も考えていないように見えて、実は二人の明るい未来を想像してくれているとしたら、賢者タイムも悪くないですよね。
賢者タイムにされて嫌なこと
①触り続けられる
「賢者タイムに考えること」の①でも紹介しましたが、触られたくないと考える人が多いので、触り続けるパートナーに対して、嫌悪感を感じやすくなります。しつこくキスをしたり、性器を触ったりして、拒否に従わないことは良くありません。
これは「性的同意」が取れていない状況に値します。一度セックスをしたからと言って、ずっとどこでも許可なく触っていいということではないからです。賢者タイムだとしても、相手の意思を尊重するようにしましょう。
<参考>
セイシル/ちゃんととれてる?性的同意
②態度に対して怒られる
パートナーがそっけない態度であることに対して、「どうして相手にしてくれないのか」と咎めたり文句を言ったりしていませんか?
前述の通り、賢者タイムは性欲が減退する生理現象であり、意図的に冷たくしているわけではありません。理由を聞かれても、勝手に発動しているので、説明ができないのです。パートナーの拒否に対して、いじけたり責めたりしてしまうと、賢者タイムの時だけでなく、普段からめんどくさいと思われてしまう危険が大いにあるので、注意してください。
③愛情表現を強要される
セックスの後の疲労感から、心身ともに放心状態となり、極力会話を避けたい人も少なくないでしょう。特に「本当に好き?」や、「愛されている気がしない…」など、パートナーの愛情表現に対して不満を見せると、頭を働かせてしまうことになり、賢者タイム中のパートナーは苦痛に感じてしまいます。
本心が聞きたいのであれば、セックス後、つまり賢者タイムは避けるようにしましょう。
まとめ:賢者タイムには個人差がある
いかがでしたか?賢者タイムは長さも状態も様々で、その人の気持ちも千差万別です。賢者タイムには「個人差」があることを理解していただけたと思います。
例であげたAさんとBさんのように、すれ違いを起こさないためにも、賢者タイムの存在を認識しておきましょう。
後編では、賢者タイムの攻略方法を紹介します。パートナーとより良い関係を目指すのであれば、後編こそ必見です!お楽しみに。
後編はコチラ
賢者タイムについて考えよう(後編)〜攻略方法5選!お互いを想い合える関係を築こう〜
【参考文献】
[1]泌尿器科医・小堀善友の新オトコのコト 「射精は体にいい?」
[2]射精後の「賢者タイム」、その原因はとあるホルモンにあった?
[3]射精後の無力感にプロラクチンの影あり
<この記事の監修>
福元メンズヘルスクリニック 院長
福元 和彦(医師)
■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医
福元メンズヘルスクリニック
<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 教育事業部
福田 眞央(ふくだ まお)
平成6年生まれ。保健体育科教員として高等学校に勤めた後に大学院に入り、ジェンダー学・性教育を専攻。2021年より株式会社TENGAヘルスケアに携わり、主に性教育WEBサイト「セイシル」を活用した教材作成に取り組む。
みなさんの心と身体の健康をサポートできるような情報を発信していきます!