亀頭包皮炎について　ペニスが痛い！痒い！赤い！

ペニスの亀頭（陰茎の先端部）や包皮が、「痛い・痒い・赤い」等の場合、それは「亀頭包皮炎」かもしれません。亀頭包皮炎は小児に多い病気と言われますが、今回は成人男性に限定して解説します。

目次

亀頭包皮炎とは
亀頭包皮炎の症状「ペニスが痛い・痒い・赤い」
亀頭包皮炎の原因
 原因①病原体に感染
  ペニスの不衛生
  性行為による感染
 原因②傷
  不適切なマスターベーション
  洗いすぎに注意
 原因③その他
亀頭包皮炎の治療
まとめ：亀頭包皮炎、まずは予防が一番

亀頭包皮炎とは

「亀頭包皮炎」とは、ペニスの先端部である「亀頭」や、それを覆う皮膚である「包皮」が炎症を起こしている状態のことです。

痛みや痒み、赤み等の症状があります。色々なところを触った手でペニスを無意識にいじる子どもが起こしやすいと言われていますが、成人男性でも亀頭包皮炎の悩みを抱えている方は少なくありません。

亀頭包皮炎の症状「ペニスが痛い・痒い・赤い」

亀頭包皮炎の症状は、主に「ペニスが痛い・痒い・赤い」です。膿の症状や皮膚の剥けが生じる場合もありますが、多くのケースで亀頭や包皮が赤く腫れます。

症状が自然治癒することは少なく、発症から長くて1週間ほどの時間をかけて、症状は悪化していきます。悪化すると、腫れは大きくなり痛みも強くなっていきます。

亀頭包皮炎の原因

亀頭包皮炎には、さまざまな原因があります。原因が異なると治療方法も異なります。また、原因は１つとは限りません。複数の原因で発症している可能性もあります。

原因①病原体に感染

亀頭包皮炎の主な原因は病原体の「感染」です。亀頭包皮炎を起こす病原体には、さまざまな種類の細菌や真菌（カビ）があります。

ペニスの不衛生

亀頭に汗などの垢や角質（いわゆるチンカス）が溜まって、清潔な状態が保たれていないと感染を引き起こしやすくなります。特に包皮は汚れが溜まりやすく、細菌の温床になります。

性行為による感染

ペニスを清潔に保っていても、性行為による感染で、亀頭包皮炎を起こす可能性があります。「性感染症」による炎症です。

性感染症で亀頭包皮炎が生じている場合、その原因は「カンジダ」（カビ）であることが多いと言われています。カンジダによる亀頭包皮炎の特徴として、白色や黄色の垢が溜まっていることが多く、臭いや痒みを伴っている場合もあります。

カンジダ以外にも、「淋菌」や「クラミジア」などの感染も、亀頭包皮炎に繋がります。また、ペニスに水脹れや傷がある場合は、亀頭包皮炎ではなく、「梅毒」や「ヘルペス」の可能性もあるので、ご自身で判断せず、必ず病院で検査してください。梅毒に関しては、地域の保健所で無料かつ匿名で検査することもできます。

原因②傷

ペニスの傷も亀頭包皮炎の原因になります。傷つくことで炎症を起こすこともあれば、傷口から、原因①で紹介したように病原体に感染することもあります。

不適切なマスターベーション

傷の原因には、不適切なマスターベーション（オナニー）も挙げられます。床オナや強グリップ等の強い刺激は、ペニスを傷つける可能性があります。

また、亀頭包皮炎は、マスターベーションで悪化する可能性があります。亀頭包皮炎の疑いがある際は、マスターベーションは極力控え、完治してから楽しみましょう。

〈参考〉　危ない！不適切なマスターベーション（オナニー）8選

洗いすぎに注意

「ペニスの不衛生」は亀頭包皮炎の原因になりますが、清潔に保とうとして洗いすぎることも亀頭包皮炎の原因になります。洗う際の刺激や摩擦で、炎症を起こしたり症状を悪化させる可能性があるのです。

ペニスを洗う時は優しく丁寧を心がけてください。お湯で軽く流し、刺激の少ない石鹸をあわ立てて、優しく汚れを落とすようにしましょう。

原因③その他

亀頭包皮炎は、アレルギーや皮膚の病気、がん、薬の副作用が原因のこともあります。

また、ストレスや疲労が溜まっている人、睡眠不足や栄養不足等の不健康な生活をしている人、糖尿病や体がむくみやすい病気を患っている人は、体の免疫機能が低下しやすく、細菌感染が起こりやすいので注意が必要です。

亀頭包皮炎の治療

基本的に、亀頭包皮炎は自然治癒しません。むしろ、放置して炎症が続くと腫れや痛みが悪化する可能性があります。

症状があれば、なるべく早く泌尿器科を受診してください。亀頭を締め付けるほどの痛みがある場合は、緊急処置が必要になるため、総合病院などを救急で受診してください。

医療機関での治療では、まず粘膜を採取し、原因となっている菌を特定する検査が行われます。原因が明確になれば、その原因に適した治療薬が処方されます。よって、一般の方が自己判断で市販薬を購入して服用することはおすすめされません。治療は、軟膏やクリームを患部に塗ります。原因が淋菌などであれば抗菌薬（抗生物質）、カンジダ菌は抗真菌薬を使います〔１〕。

マスターベーションやセックスをすると、摩擦で炎症が悪化する可能性があるため、治療中は控えた方が良いでしょう。ただ、どうしてもしたい場合は、優しい刺激でのマスターベーションにとどめておきましょう。

まとめ：亀頭包皮炎、まずは予防が一番

亀頭包皮炎の症状や原因について紹介しました。もし症状に気づいたら、早期治療に取り組んでください。

しかし、何より大切なことは、亀頭包皮炎を防ぐことです。日頃からペニスを清潔に保ち、マスターベーションは適切な方法で行い、セックスの際にはコンドームを着用しましょう。セックスが終わった後はティッシュで体液を拭くだけではなく、できれば体液が付いた部分はシャワーなどで洗いましょう。セックスの後は疲れてすぐに寝たい気持ちも分かりますが、ひと手間をかけてペニスを清潔に保ちましょう。健康なペニスで充実した性生活を送られることを願っています。

〈参考文献〉
〔１〕https://www.std-lab.jp/stddatabase/balanoposthitis.php

＜この記事の監修＞
福元メンズヘルスクリニック 院長
福元 和彦（医師）
■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医
福元メンズヘルスクリニック

＜著者プロフィール＞
TENGAヘルスケア　教育事業部
福田　眞央（ふくだ まお）
平成6年生まれ。保健体育科教員として高等学校に勤めた後に大学院に入り、ジェンダー学・性教育を専攻。2021年より株式会社TENGAヘルスケアに携わり、主に性教育WEBサイト「セイシル」を活用した教材作成に取り組む。
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