年齢と精子の関係 精子は何歳まで元気?

晩婚化や社会の変化に伴い、日本での第一子出生時の親の年齢は、男女ともに上昇しています。

1980年 1990年 2000年 2010年 2019年
男性 29.2 29.9 30.2 32.0 32.8
女性 26.4 27.0 28.0 29.9 30.7

第一子出生時の男女の平均年齢([1]を元に作成)

女性の年齢は妊娠のしやすさに影響があるとされていますが、男性の加齢も妊娠しにくくなるのでしょうか?

目次

年齢と精子の質の関係
時代の経過で精子は減少している
精液所見の改善方法
まとめ:早め早めの行動で男性不妊を予防しよう

年齢と精子の関係

男性の年齢と精子の状態の関係性は、2003年にアメリカの研究チームから報告されています[2]。この研究では、不妊の問題を抱えていない97人の男性被験者の精液検査の結果への、被験者の年齢の影響が検討されました。

精子 年齢 精液所見 運動率 精液

年齢と精液所見の関係([2]より改変)

こちらのグラフを見ると、様々な精液所見が加齢によって低下していることが分かります。

精子 年齢 減少 運動量 精液

1歳毎の精液所見の低下の度合い([2]より改変)

またこちらの表は、1歳加齢する毎の精液所見の低下具合を表しています。

精液量、精子濃度、総精子数、運動率、前進運動率、前進運動精子数の全てのパラメータで、加齢によって数値が有意に低下しており、特に精液量と運動性の低下が顕著であったと報告されました。

精液量は1年歳をとる毎に0.03 mlずつ減少しており、20年で0.6 mlの減少になります。

WHOから発表されている、2021年版の精液量の基準値(自然妊娠するための下限値)は1.4 mlですので、0.6 mlの精液量の低下は小さくないと言えるでしょう。

精子 年齢 基準値 下回る割合 濃度

年齢毎に各パラメータが基準値を下回る割合([2]より改変)

更にこちらは、年齢毎に、各パラメータが基準値*を下回る割合を示しています。
*基準値は2003年当時のものを使用しています。

各パラメータのカーブの傾き見ると、まず30代で運動率の低下が起こり、その後30代後半から精液量が減っていく様子が分かります。

以上から、特に30代以降で、加齢は男性不妊の原因となりえることが分かります。

時代の経過でも精子は減少している

先程の研究は2003年(データの収集は1997~1998年)の報告でしたが、精液所見は加齢だけでなく、時代の経過でも低下していることが報告されています。

マウントサイナイ・アイカーン医科大学の研究チームによると、1973年~2011年の約40年間で世界的に見て、精子の濃度が約70%に減少していることが報告されました(1973年:9280万匹/ml ➡ 2011年:6640万匹/ml)[3]。

特に欧米諸国(北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド)で見ると、精子濃度は約半分まで減少していました(1973年:9900万匹/ml ➡ 2011年:4710万匹/ml)。

精子 減少 40年前 変化 精液

精液所見の改善方法

加齢による精液所見の低下は、精巣や前立腺の機能低下や、酸化ストレスの蓄積が原因と考えられ、また時代による低下は、運動習慣や食生活の変化などが原因と考えられます。

さらに晩婚化も加わり、今日の日本人は自分達の親や祖父母世代よりも妊娠が難しくなっている状況です。

そのような中で将来子供を希望している、もしくは現在妊活中の男性は、早いうちから精液所見の改善に取り組むことが大切です。

精液所見を改善させる方法は、生活習慣の改善やサプリメントの摂取です。

詳しくは以下にまとめていますので、興味のある方はチェックしましょう。

<参考>
・精子を増やす!妊活のための精子の増やし方を解説
・「精子を増やす7ヵ条」妊活中の男性は実践を

まとめ:早め早めの行動で男性不妊を予防しよう

加齢によって精子の質が低下することが分かりました。精子が一から生成されるには約3ヵ月が必要で、また長年の生活習慣が精子の質に影響します。良い精子を作るためには時間がかかります。

心配な男性は、まずは精液検査を行い、自分の状態を知りましょう。その結果を見て、若いうちから精子ケアを心がけられると良いでしょう。

 

【参考/出典元】
[1]政府統計の総合窓口, 人口動態調査 人口動態統計 確定数 出生, 出生順位別にみた年次別父・母の平均年齢
[2]Eskenazi, Brenda, et al. "The association of age and semen quality in healthy men." Human reproduction 18.2 (2003): 447-454.
[3]Levine, Hagai, et al. "Temporal trends in sperm count: a systematic review and meta-regression analysis." Human reproduction update 23.6 (2017): 646-659.

 

聖隷浜松病院リプロダクションセンター センター長
今井 伸(医師)
■泌尿器科医 ■性機能専門医 ■生殖医学会生殖医療専門医 ■性科学会認定セックス・セラピスト専門医
聖隷浜松病院リプロダクションセンター

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!

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