2020.05.20

専門医に聞く、新型コロナと妊活⑥ 妊活延期を決めたとき、今できることはなに?/再開はいつから準備すればいい?

妊活延期を決めたとき、今できることはなに?/再開はいつから準備すればいい?

新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)が拡大する中、日本生殖医学会からは4月1日、「国内での急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる予防薬や治療薬が開発されるまでを目安に、不妊治療の延期を推奨する」という内容の声明が出されました。

※5月18日時点で、同学会から「不妊治療の再開を考慮してほしい」という内容の通知が出されています。以下は新型コロナ禍での妊活情報、もしくは一般的な妊活情報として、ご参考ください。

(日本生殖医学会のHP http://www.jsrm.or.jp/

新型コロナと妊活に関する素朴な疑問について、産婦人科医の柴田綾子先生(淀川キリスト教病院 産婦人科所属)と、泌尿器科医の今井伸先生(SRHケアクリニック静岡 院長)に伺いました。

この記事でわかること

Q.妊活を延期する場合、女性が今できることはなんでしょうか?
Q.妊活を延期する場合、男性が今できることはなんでしょうか?
Q.妊活再開に向けて、いま鍛えておいた方がいい筋肉などありますか?(女性編、男性編)
Q.妊活を再開する時は、どれくらい前から準備が必要ですか?(女性編、男性編)

※※先生方の回答は取材した4月30日(柴田先生)、5月1日(今井先生)時点の情報に基づいています※※

Q.妊活を延期する場合、女性が今できることはなんでしょうか?

柴田先生:「妊娠しやすい体づくり」をおすすめします。プレコンセプションケア(妊娠前ケア)、体重を標準体重に近づける、葉酸サプリをとる、風疹のワクチン接種が挙げられるでしょう。

妊娠しやすい体を作ることを「プレコンセプションケア(妊娠前ケア)」と言います。なかなか日本では浸透していないのですが、妊娠において、体づくりはものすごく大事です。
具体的な方法については、国立成育医療研究センターのチェックシートが参考になるでしょう。

1ヶ月や2ヶ月単位で妊活をお休みされるということであれば、「適正体重にする」ことで妊娠しやすい体作りになります。痩せすぎでも太りすぎでも妊娠しにくくなります。

葉酸のサプリもおすすめです。葉酸は妊娠する4週間前からとることが勧められています(妊娠前4週から妊娠12週まで葉酸サプリメント  0.4 mg/日をとることを推奨)。

また、今のタイミングで風疹のワクチンを打っておくのも良いでしょう。
各医療機関では、コロナ禍でも、ワクチンや予防接種は自粛しないように呼びかけています。体調が悪くなければ電話でワクチンの予約をして病院やクリニックを受診していただくのは大丈夫です!

風疹のワクチンを打つと、2ヶ月間は妊活できません。
さらに、妊娠中に風疹にかかってしまうと、胎児の危険リスクが上がります。今のうちに風疹の抗体をつけておくと、妊娠した時にとても役に立ちます。

Q.妊活を延期する場合、男性が今できることはなんでしょうか?

今井先生:もし「セックスを控える」ということであっても、射精はコンスタントにした方が良いですね。本当は毎日と言いたいところですが、週三回以上をおすすめしています。

やはり年齢や体力によって難しい人もいるとは思いますが、射精の回数が少ないと、精子の運動率が下がるなど、精液の質が落ちることがあります
精子は毎日作られているので、毎日射精したとしても問題はありません。

柴田先生:国立成育医療研究センターのチェックシートは、女性だけじゃなくて男性の分もありますので、ぜひ参考にしてください。

男性は、禁煙が一番重要ですね。タバコは精子の質を下げてしまいますので、タバコや過度の飲酒は控えたほうが良いと言われています。

妊活を考えているなら禁煙外来などもおすすめしたいです。

Q.妊活再開に向けて、いま鍛えておいた方がいい筋肉などありますか?

女性も男性も骨盤底筋を鍛えると良いです。

柴田先生骨盤底筋やインナーマッスルを鍛えておくのは、とても大事だと思います。

骨盤の底にある筋肉を「骨盤底筋」といい、子宮などを支えています。もし骨盤底の筋肉が弱っていると、お産の後に尿もれが頻発したり、歳をとった時に子宮が下がってくる「子宮脱」も起こり得ます

また、インナーマッスルが弱い状態だと妊娠してお腹が大きくなってきた時に、姿勢が悪くなり膝や腰への負担がかかり痛みが出ることもあります。

今井先生男性も、骨盤底筋を鍛えると、硬い勃起が得られやすくなります。
勃起している時にお尻の穴に力を入れると、陰茎がより硬くなって動きます。
これは、陰茎の根っこの部分、すなわち陰茎海綿体脚が、肛門括約筋とともに骨盤底筋を構成している坐骨海綿体筋に覆われていて、肛門括約筋を収縮させる(肛門を締める)と連動して坐骨海綿体も収縮し、陰茎海綿体脚を締め付けることによって勃起がより硬くなり、陰茎が動くのです。

例えば骨盤底筋体操は男性にも効果的だと思いますよ。

ご参考:日本臨床内科医会の推奨する骨盤底筋体操はこちら

Q.妊活を再開する時は、どれくらい前から準備が必要ですか?

柴田先生:女性が不妊治療を再開する場合、~2ヶ月前から基礎体温の測定を開始しましょう
基礎体温のデータがあったほうが、不妊治療を始めやすいです。
基礎体温には、女性ホルモンや排卵の状態の一部が現れているので、そのデータを持って病院に行っていただいたほうが、スケジュールが立てやすいと思います。

基礎体温がバラバラであったり、2相性(*1)になっていないときは、排卵や女性ホルモンの状態を確認する必要があります。

今井先生男性も、もし自分の精液の状態を見たことがない場合は、精子の動きや量をチェックするのが良いですね。

自宅で精液を観察できるルーペが市販されていますので、活用してみるとよいでしょう。

他は、体調を整えること。体調がよくて、睡眠も取れていて、食べ過ぎたり、栄養が足りなさ過ぎたりするということがなくて、射精もコンスタントにしていれば、大丈夫でしょう。

(*1)「2相性になる」とは、基礎体温が2段階のようになっている状態のこと。
基礎体温には、低温期と高温期があり、低温期から高温期にうつる時に「排卵している」と考えることができます。
しっかり排卵してホルモンのバランスも正常な人は、低温期があった後に高温期が続く2段階の形になります。
もし平らで高温期が無い場合は排卵や女性ホルモンに異常がある可能性があります。

今回お話を伺ったのは

淀川キリスト教病院 産婦人科所属
産婦人科医
柴田 綾子 先生

SRHケアクリニック静岡 院長
聖隷浜松病院 リプロダクションセンター
泌尿器科医
今井 伸 先生


【TENGAヘルスケアより】

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がっています。

感染リスクへの不安や日常生活の制限があり、日々刻々と情勢が移り変わる中、
適切な情報を取捨選択し、決断しなければならない状況に、
多くのストレスを感じる方もいらっしゃると思います。

男性向けの妊活アイテムを展開し、「男性妊活」の重要性を啓発してきたTENGAヘルスケアとしましても、妊娠を希望される方が適切な情報に触れるためのお力添えをできたらと考えております。



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