クイズ!動物のセックス雑学 ヒトの性行動は特別なのか?
ヒトを含め、ほとんどの動物は交尾で子孫を残します。しかし、ヒトは生殖を目的としないセックスをし、マスターベーションもします。このような生殖と結びつかない性行動は、ヒト特有なのでしょうか。
今回は、動物達の性行動をクイズ形式で紹介します。ヒトとそれ以外の動物で何が異なるのか、見ていきましょう。
目次
Q1動物のセックス中の体位は?
Q2快感目的のセックスをする動物は?
Q3最も大きなペニスを持つ霊長類は?
まとめ:ヒトの性行動も自然の一部
Q1 動物のセックス中の体位は?
<問題>ヒト以外に正常位を頻繁に行う霊長類は次の内どれ?
- ゴリラ
- オラウータン
- ボノボ(ピグミーチンパンジー)
- ヒト以外に正常位を行う霊長類はいない
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<正解>3. ボノボ(ピグミーチンパンジー)
ボノボのセックスは正常位
「ボノボ」という名前を、初めて聞いたという方もいるかもしれません。ボノボ(別名:ピグミーチンパンジー)は「チンパンジー属」に属する霊長類ですが、一般的なチンパンジーとは別種で、チンパンジーよりもやや小柄な体格です。進化の系統的に、チンパンジーと同様ボノボもヒトに近い種で、チンパンジーよりも温厚な性格で知られています。
ボノボを語る上での特筆事項は、正常位がセックスの基本姿勢である点です。
チンパンジーやゴリラ、オラウータンでも、正常位が観察されたという報告はありますが、これらの種の一般的な姿勢は後背位(バック)です。
ボノボは膣の位置も特徴的です。チンパンジーなどは尻から突き出した位置に(後ろ側に)膣がありますが、ボノボはヒトと同じように、両足の合わせ目に膣があり、正常位を行いやすい体の構造になっています[1]。
正常位を行う以外にも、キスやセックス中の見つめ合い、メス同士でのクリトリスのこすり付け合い、オス同士でのペニスの刺激し合いなど、ボノボはさまざまな性行動を頻繁に行います[1]。
詳しい解説は別の機会にしますが、ボノボのこれらの行動は集団内の緊張を緩和する、スキンシップや挨拶のようなものだと考えられています。
ヒト以外にも(ヒトよりももっと)、セックスでコミュニケーションを図る動物がいるということです。
Q2快感目的のセックスをする動物は?
<問題>次の内、ヒト以外の動物では確認されていない性行動はどれ?
- マスターベーション
- オーラルセックス
- アナルセックス
- 死姦
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<正解>全て確認されている
選択肢に挙げた4つの性行動は、ヒト以外の動物でも全て確認されています。
動物の性行動<マスターベーション>
サル、ウマ、イルカ、イヌ、ヤギ、ゾウなど、さまざまな動物でマスターベーションが確認されています[2]。
マスターベーションの方法は、自らフェラチオやクンニリングスを行うほか、道具(ホースからの水流や、木の枝で作ったディルドなど)を使うケースも報告されています。
動物の性行動<オーラルセックス>
オーラルセックスもマスターベーションと同様、多くの動物で確認されています。異性間よりも、同性間でのオーラルセックスが目立って報告されています。
動物の性行動<アナルセックス>
アナルセックスは、ヒツジ、キリン、バイソンなどで報告されています[2]。「膣と間違えただけじゃないの?」と思うかもしれませんが、これらの動物のアナルセックスはオス同士で確認されています。
動物の性行動<死姦>
死姦はマガモやカラスで報告されています[3][4]。
特にマガモの報告では、オスのマガモの死体を別のオスのマガモが死姦していました。この研究発表したMoeliker博士は、2003年にイグノーベル賞を受賞しています。
カラスの死姦の様子([3]より引用)
Q3最も大きなペニスを持つ霊長類は?
<問題>次の霊長類の内、最も大きなペニスを持つ動物はどれ?
- ヒト
- チンパンジー
- ゴリラ
- オラウータン
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<正解>1. ヒト
霊長類最大のペニスの持ち主は、ヒトです。
そもそもペニスの形状やサイズは、生殖活動での必要に応じて進化してきました。各霊長類のペニス事情について、順番に解説していきます。
霊長類のペニスサイズ<ゴリラとオラウータン>
まずゴリラですが、彼らのペニスは3 cm程しかありません[5]。
ゴリラは一夫多妻制(ハーレム)ですので、オス同士のメスを巡る争いは“闘争(ケンカ)”です。ライバルのオスが出現したら、力で撃退します。
メスとのセックスは、ライバルのオスを排除した後でゆっくり行えばよいため、ペニスは必要最低限のサイズで十分でした。これがゴリラのペニスが小さい理由です。同様の理由で精子を沢山作る必要も無く、ゴリラは精巣も小型です。
オラウータンはゴリラと違いそもそも群を作りませんが、ライバルのオスの倒し方は“力”です。このためオラウータンのペニスも、ゴリラと同様短小です。
霊長類のペニスサイズ<チンパンジー>
チンパンジーのペニス([6]より引用)
一方、複数のオスとメスで群を構築するチンパンジーは、ゴリラやオラウータンよりも大きなペニスを持っています。
しかしペニスのサイズよりも特徴的なのは、彼らの精巣のサイズです。左右の精巣を合わせると脳とほぼ同じ重量になります[5]。サイズが大きければより多くの精子を作ることが可能で、実際にチンパンジーの精子濃度は、ヒトの5~10倍と言われています[7]。
チンパンジーは発情期になると、群の中でいわゆる乱交をします。オスもメスも、セックスが終われば、スグにまた別の相手とセックスを行い、これが何度も繰り返されます。
この乱婚型の配偶様式の中では、ゴリラのような“力”によるライバルオスの排除は、その間に別のオスにメスとセックスされてしまうため非効率的です。そのため、チンパンジーのオスは生殖戦略として、タケノコ型の細長いペニスを膣の奥へ挿入し、大量の精子を放出することで、他のオスに負けないように進化したのだと考えられます。
霊長類のペニスサイズ<ヒト>
最後にヒトです。単純な形状ながら、ヒトは霊長類で最大の長さ・太さのペニスを持っています。ペニスの先端には明瞭な亀頭があり、これによって先にセックスした他のオスの精液を掻き出すことができます。
これらの特徴は、ヒトの祖先が乱婚型だったことの名残だと言えますが、他の乱婚型の霊長類(チンパンジーなど)よりも、はるかに巨大なペニスになった理由は、ヒトが二足歩行を行うようになったからだと考えられています。
四足歩行から二足歩行になったことで、ペニスがメスからよく見えるようになりました。その結果、オスとしての能力をアピールするために、ペニスが巨大化していったのだと考えられます。
まとめ:ヒトの性行動も自然の一部
いかがだったでしょうか。今回は霊長類を中心に、いくつかの動物の性行動とペニスについて紹介しました。
多くの動物で生殖とは無関係の性行動が存在することを考えると、ヒトが行う愛情や快感のための性行動も、自然の一部だと言うことができます。
動物の性行動を知れば、我々ヒトの性に対する理解もより深まります。動物の意外な性行動は、参考/出典元に挙げたものも含め、さまざまな書籍や文献で紹介されていますので、興味がある方はぜひ探してみてください。
【参考/出典元】
[1]ジュールズ・ハワード, 生きものたちの秘められた性生活, 株式会社KADOKAWA, 2015
[2]デイヴィッド・J・リンデン, 快感回路(文庫版), 河出書房新社, 2014
[3]Ed Yong, Crows Sometimes Have Sex With Their Dead, The Atlantic
[4]Moeliker, C. W. "The first case of homosexual necrophilia in the mallard Anas platyrhynchos (Aves: Anatidae)." Deinsea 8.1 (2001): 243-248.
[5]監修 浅利昌男, どうぶつのおちんちん学, 株式会社緑書房, 2018
[6]【動物のペニス】思ったより小さいチンパンジーのペニス, Youtube
[7]クリストファー・ライアン, カシルダ・ジェタ, 性の進化論, 株式会社作品社, 2014
<この記事の監修>
福元メンズヘルスクリニック 院長
福元 和彦(医師)
■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医
福元メンズヘルスクリニック
<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!