2021.11.05

顔の好みは変化させられる?? 人の認知を操作する方法について

あなたにとって相手の顔がタイプかそうでないかは、恋愛関係においてどれくらい重要ですか?中身が重要という方もいると思いますが、相手が自分にとって好ましい存在かどうかを判断する際に、相手の顔への好意度は少なくない影響を与えているでしょう。

これは恋愛だけでなく、生殖活動や社会的関係性の構築にも影響します。

今回は、そんな人間にとって重要な「顔の好み」について、その操作に挑戦した脳科学の研究を紹介し、最後に男女の快感を操作(入れ替える)ことについても考えていきます。

目次

顔の好みを変化させる
さらなる発展、男女の快感を入れ替える

顔の好みを変化させる

今回紹介する研究は、日本とアメリカの研究チームによって発表された、人の「顔の好み」を操作する研究です[1]。

顔の好み 操作 DecNef 男女の快感 入れ替え

研究概要([4]より引用)

人の「顔の好み」には、脳の帯状皮質という領域の活動が関与していると考えられています。この研究では、帯状皮質の活動を「好き」もしくは「嫌い」状態に誘導することで、「顔の好み」をその方向へ変化させることに成功したと報告されました。

顔の好み 操作 DecNef 男女の快感 入れ替え

「顔の好み」の操作方法([2]より引用)

「顔の好み」を操作するために、まずfMRI*によって、好意度別の帯状皮質の活動パターンを測定します。これは被験者に400枚の顔写真を見せ、「その顔への好意度」を評定してもらいながら行われました。
*脳の活動を測定する技術で、MRI装置によって行われます。

次に、この測定された脳活動パターンと好意度の評定を結び付け、帯状皮質の活動パターンから、そのときに被験者が感じている「顔の好み」を推定するデコーダ(好みデコーダ)を作成します。

好みデコーダが完成したら、これを使用して「顔の好み」を操作します。

被験者に最初に見せた400枚の顔写真の中から特定の写真を再度提示し、その後画面上に表示される緑色の円の大きさを操作するように指示します。緑色の円のサイズは好みデコーダを利用して、帯状皮質の活動が「好き」状態であれば大きく、「嫌い」状態であれば小さくなるように設計されています。

つまり、特定の顔写真を提示した後に、その被験者の脳活動を「好き」or「嫌い」状態に操作することで、顔写真への好意度を操作しよう、という寸法です。

このトレーニング(DecNef訓練)の際、被験者には「とにかく円を大きく or 小さくするように」という指示のみがなされ、操作の意図は説明されません。

これを3日間行い、トレーニング中に提示した顔写真に対する好みの変化を再測定します。

DecNef 顔の好み 操作

トレーニング後の顔の好みの変化([2]より引用)

こちらのグラフの縦軸は、トレーニング前後での400枚の写真に対する好みの変化を表しています。

「好き」方向へトレーニングした被験者が赤、「嫌い」方向へトレーニングした被験者が青で示されており、トレーニング中に提示した顔でのみ、それぞれ「好き」もしくは「嫌い」方向へ、好意度が有意に変化していました。

これはつまり、「顔の好み」を人為的に操作できた、ということを表しています。

顔の好み 操作 DecNef 脳活動と好み変化の相関

脳活動変化の度合いと、好み変化の度合い関係([2]より引用)

さらにこの研究では、トレーニング中の脳活動の変化の度合い(=緑の円をどれだけ上手く変化させられたか)と、好意度の変化量の関係も確認されています。

グラフには正の相関があり、上手く脳活動を変化させられた人ほど、好みの変化も大きかったことが分かりました。

さらなる発展、男女の快感を入れ替える

以上のように、人間の認知(顔の好み)は、部分的に操作できることが分かりました。

この研究では、被験者が自分の脳の活動を自力で変化させており、この変化が認知に関する脳領域で可能であった、という点が重要です。

男女の性的快感を入れ替える、つまり異性が性的快感を得ている際の脳活動を自力で再現し、その性的快感の疑似体験も可能になるかもしれません。

これを実現するためには、快感に関連する、触覚や視覚、記憶、感情といった、複雑で広範囲な脳活動の観察が必要です。さらに「顔の好み」という短時間の判断(現象)とは異なり、快感は一定時間持続する現象であるため、脳活動もそれだけ長く記録する必要があります。

残念ながら、このような広範囲かつ長時間のデータから、快感に関する成分を抽出することは、今日の脳科学では困難です。しかし遠い未来、科学の発展によって、男女の快感を入れ替える技術が開発されるかもしれません。

いつの日か、この快感の謎が明らかになることを期待しましょう。

 

【参考/出典元】
[1]Shibata, Kazuhisa, et al. "Differential activation patterns in the same brain region led to opposite emotional states." PLoS biology 14.9 (2016): e1002546.
[2]国立研究開発法人日本医療研究開発機構, プレスリリース 顔の好みを好き・嫌い両方向に変化させるニューロフィードバック技術を開発

 

<この記事の監修>
福元メンズヘルスクリニック 院長
福元 和彦(医師)
■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医
福元メンズヘルスクリニック

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
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