2021.08.30

妊活が面倒くさい? 妊活中の“やる気”(性欲)低下への対処法

自然妊娠を目指す場合、セックスして膣内射精をする必要があります。ただ、若い頃ならいざ知らず、年齢を重ねるにつれ“やる気”(性欲)が低下し、セックスを面倒に思う人も多いのではないでしょうか。今回は、妊活で見過ごされがちな「性欲」と、性欲が低下した際の対処法を解説します。

目次

“やる気”(性欲)低下の妊活への影響
男性の“やる気”(性欲)と二人目不妊
“やる気”(性欲)が出ない時の対処法
テストフェンで“やる気”(性欲)上げる
シリンジ法でセックスを回避する
まとめ:“やる気”(性欲)と上手くつきあって、無理のない妊活を

“やる気”(性欲)低下の妊活への影響

そもそも、妊娠を目的としたセックスには様々なストレスが存在します。TENGAヘルスケアが2020年に、妊活中の20~40代の男女1561人に実施した調査によると、86.0%の男女が、妊活のセックスに「何かしらの悩みやストレスを感じている」と回答しました。

悩みやストレスで最も多かった回答は、「疲れていたり忙しかったりして、性交ができない、または性交が面倒」で、調査全体の51.1%を占めました(男性47.3%、女性55.4%)。

妊活中の男女の約半数は「セックスが面倒」、つまり「やる気(性欲)の低下」は妊活を妨げる要因になっていると言えます。

男性の“やる気”(性欲)と二人目不妊

男性の場合、年齢が上がるとテストステロンが減少し、“やる気”(性欲)が低下する場合があります。

二人目の妊活時には、年齢の問題に加え、一人目の育児と並行しなければならないという「二人目特有の問題」が性欲に影響しているようです。

フィリピンに住む男性624人(調査開始時平均21.5歳)の唾液中のテストステロン濃度を、2005年と2009年に測定した研究によると、調査期間中に子供が生まれた男性では、“やる気”と性欲の源であるテストステロンが、大幅に減少していることが分かりました[1]。

テストステロン濃度 育児 低下 性欲

([1]より改変)

男性のテストステロン量は、一般的に午前と午後で差があるため、この調査でも午前と午後、2回測定が行われました。

グラフを見ると、2005年時点でパートナーがおらず、2009年にはパートナーと子供ができた男性(右端)で、テストステロン濃度の減少量が最大であることが分かります。

テストステロン濃度 育児 低下

([1]より改変)

また、子供の年齢が低い男性ほど、テストステロン濃度の減少が大きいことも報告されました。

子供の年齢が1歳以上の場合でも、子供がいない男性と比較すると依然としてテストステロン濃度は有意に低く、子供ができる依然の状態までには回復していないことが分かります。

更にこの研究では、1日に育児にかける時間が長い男性ほど、テストステロン濃度が低いことも報告されました。

以上の結果から、パートナーを獲得し子供が生まれた男性は、テストステロンが低下することが分かりました。これは、性欲を減少させ男性に育児参加を促す、という生殖戦略の現れだと、研究者は推測しました。

子供が生まれた男性では、以上のような背景で性欲低下が起こり、これが二人目不妊の要因となっている可能性があります。

“やる気”が出ない時の対処法

では、妊活で“やる気”(性欲)が出ないとき、どのように対処したら良いのでしょうか。対処法には、“やる気”(性欲)を高める方法と、セックスをしない方法があります。

テストフェンで“やる気”(性欲)を上げる

テストステロンの低下は、男性の“やる気”(性欲)低下の原因になります。

テストステロンが極端に低下した男性へは、妊活中でなければ、医療機関でのテストステロン補充療法が適用されます。しかし、外部から大量のテストステロンを補充すると睾丸機能が低下し、精液所見が悪化してしまうため、テストステロン補充療法を妊活中に行うことはできません。

ですので、妊活中にテストステロンを上げたい場合は、サプリメント程度にするのがオススメです。

特に、テストフェンという成分を含むサプリメントでは、12週間の摂取で、朝立ちや性交頻度の増加が報告されています[2]。

([2]より改変)

妊活で“やる気”(性欲)が出ない男性は、一度テストフェン入りのサプリメントを試してみると良いでしょう。

<参考>
男性の活力と自信をサポート 日本初・国産マカを配合した「活力支援サプリ」

シリンジ法でセックスを回避する

“やる気”(性欲)が湧かない場合は、シリンジ法でセックスをしない妊活も有効です。

シリンジ法とは、男性が採取した精液を、専用のカテーテルとシリンジで吸引し、膣に注入する妊活の方法です。膣内で射精した場合と同じ状況を作れるので、セックスをせずに自然妊娠を目指すことができます。

このシリンジ法を行うための専用品は「シリンジ法キット」と呼ばれます。

男性だけでなく、女性の“やる気”(性欲)が低い場合も有効です。男女共に、無理なセックスはストレスの原因になります。気が乗らないときは、無理せずシリンジ法に頼ってみるのも悪いことではありません。

<参考>
・シリンジ法を知れば、妊活はもっと自由になる「Seed in」でセルフ妊活の選択肢を
・妊活のためのセックス・タイミング法がしんどい。そんなときに助けてくれるシリンジ法とは?

Seed in シリンジ法 妊活

まとめ:“やる気”(性欲)と上手くつきあって、無理のない妊活を

男女共に忙しく、晩婚化も進む現代社会では、妊活で“やる気”(性欲)が湧かないケースが増えています。そのようなときに無理してセックスしストレスが溜まると、妊活が上手くいかないだけでなく、カップルの不仲にも繋がります。妊活は、お互いの性欲にも気を配りながら取り組めると良いでしょう。

 

【参考/出典元】
[1]Gettler, Lee T., et al. "Longitudinal evidence that fatherhood decreases testosterone in human males." Proceedings of the National Academy of Sciences 108.39 (2011): 16194-16199
[2]Rao, Amanda, et al. "Testofen, a specialised Trigonella foenum-graecum seed extract reduces age-related symptoms of androgen decrease, increases testosterone levels and improves sexual function in healthy aging males in a double-blind randomised clinical study." The Aging Male 19.2 (2016): 134-142.

 

SRHケアクリニック静岡院長
聖隷浜松病院 リプロダクションセンター
今井 伸(医師)
■泌尿器科医 ■性機能専門医 ■生殖医学会生殖医療専門医 ■性科学会認定セックス・セラピスト専門医
聖隷浜松病院リプロダクションセンター

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!


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