デリケートゾーンケアには乳酸菌?「膣内フローラ」について解説
注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。
かゆみや蒸れ、匂いなどをはじめとする、女性のデリケートゾーンのトラブル。
「他の人には相談しにくい」、「何度も症状を繰り返してしまうが、原因が分からない」など、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
実は、これらのトラブルは膣内の常在菌のバランス(膣内フローラ)の乱れが原因かもしれません。
今回のコラムでは、膣内フローラを保つ鍵である「乳酸菌」の働きや、膣内環境の適切なケアについてご紹介します。「膣内フローラ」についての知識を身に着け、健康なデリケートゾーンを目指していきましょう。
目次
膣内フローラとは
膣内フローラと乳酸菌の働き
膣内フローラが乱れると細菌性膣症に
膣内フローラのケア方法
膣内フローラのチェック方法
まとめ:膣内環境を整えて、デリケートゾーンを健やかに!
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膣内フローラとは
人間の体内には、腸内をはじめ様々な場所に常在菌が存在し、私たちの健康に大きな影響を与えています。
多種多様な菌が集まっている様子が花畑(英語でフローラ)に例えられることから、体内の部位毎に、細菌の状態(細菌叢)を、「腟内フローラ」や「腸内フローラ」、「子宮内フローラ」と呼びます。
つまり、「腟内フローラ」=「膣内の細菌の状態」ということになります。
膣内フローラと乳酸菌の働き
体内の他の部位と同様、膣内にも善玉菌、悪玉菌、多種多様な菌が存在します。膣内の善玉菌の一つに、ラクトバチルス属の乳酸菌である「デーデルライン桿菌」があり、この菌が膣内フローラの主役です。
この乳酸菌は、膣内環境を酸性に保つことで雑菌などの悪玉菌の繁殖を防ぐという、非常に重要な働きをしています。
膣内フローラが崩れると細菌性膣症に
膣内の乳酸菌は常に十分にあるわけではなく、生活習慣やストレス、性生活、腟の洗い方、更年期などのホルモン変化などで、減少することがあります。
乳酸菌が減少すると、膣内の酸性が崩れ、結果、悪玉菌や外部からの細菌が増殖しやすくなります。
このような、膣内の乳酸菌が減少し、有害な細菌が増殖した状態のことを「細菌性膣症」と呼びます。
18歳から45歳の女性のうち、約20~30%は細菌性膣症だと言われており[1]、女性にとってかなり身近な感染症だと言えます。
細菌性膣症になると、性感染症、膀胱炎、カンジダ性膣炎、子宮内膜炎、卵管炎、早産など[2]様々な病気のリスクが高まるほか、おりものの悪臭や陰部のかゆみなど、デリケートゾーンのトラブルが発生しやすくなります。
〈参考〉 細菌性膣症とは?その症状や原因を解説
膣内フローラのケア方法
膣内環境を健康に保つためには、膣内フローラのバランスを整えることが重要です。
膣内フローラを適切な状態に整えるには、どのような方法があるのでしょうか。
①生活習慣を整える
ストレスや睡眠不足による免疫機能の低下は、膣内フローラが乱れる要因となります。
ストレスを溜めたままにしない、十分な睡眠を取るなど、規則正しい生活習慣を心がけることが重要です。
②膣の中まで洗いすぎない
膣内の過度な洗浄は常在菌である乳酸菌を洗い流してしまうため、膣内フローラのバランスが崩れてしまいます。
デリケートゾーンを洗浄する際は、外陰部のみを優しく洗浄することが大切です。肌に優しいデリケートゾーン専用のソープを用いるのもおすすめです。
③サプリメントなどで乳酸菌を摂取する
膣内フローラの乱れは、乳酸菌の減少によって引き起こされます。
膣内フローラを形成するラクトバチルス属の乳酸菌を食品やサプリメントなどで経口摂取することにより、膣内フローラのバランスを保つことができます。
特に、膣内フローラのサポートに着目して開発された「乳酸菌UREX®」は他の乳酸菌に比べて膣内での滞在時間が長く、継続摂取することで膣内フローラの状態が改善されたと報告されています[3]。
膣内フローラのチェック方法
では自分の膣内フローラの状態を知るには、どのようにすれば良いでしょうか。
既に何かしらの症状があったり、気になる場合は、医療機関を受診して検査してもらいましょう。
一方、「病院に行く程は気になっていないけど」という場合は、おりものを見たり、腟内のpHを測定する方法でセルフチェックができます。
<参考>膣内フローラチェック デリケートゾーンの状態を知ろう!
まとめ:膣内環境を整えて、デリケートゾーンを健やかに!
膣内フローラの重要性や膣内フローラのバランスを整える方法について、詳しく解説してきました。
膣内環境は女性が健やかな毎日を送る上で大切なものの一つ。膣内フローラを整えることで、デリケートゾーンのトラブルに備え、健やかな毎日を送りましょう。
【参考文献】
[1]Peebles K, Velloza J, Balkus JE, McClelland RS, Barnabas RV. High Global Burden and Costs of Bacterial Vaginosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sex Transm Dis. 2019 May;46(5):304-311
[2]性感染症診断・治療ガイドライン2016. 日本性感染症学会誌. 2016. Vol.27, No1 Supp. P77-80.
[3]プロバイオティクス原料 乳酸菌UREX®
TENGAヘルスケア 広報担当
原田 樹(はらだ いつき)
1995年広島県生まれ。大学では幼児教育学科で保育を専攻。保育士として1年半勤務したのち、広告代理店に転職。タブー視されている性の話題について深く掘り下げたいと感じ、2022年に株式会社TENGAへ入社。現在は株式会社TENGAヘルスケアの国内PR業務を担当。