2024.05.27

GSM(閉経関連泌尿性器症候群)とは?婦人科への受診目安・治療方法は?

更年期を迎えて、デリケートゾーンのトラブルや尿漏れ、性機能に関しての悩みが出てきたという方は、GSM(閉経関連泌尿性器症候群)の可能性があります。

今回は、GSMについて、原因、症状、婦人科への受診目安や治療方法までを詳しく解説するので、もしかしてGSMかも?と感じている方はぜひ参考にしてください。

GSM(閉経関連泌尿性器症候群)とは

GSMとは、Genitourinary Syndrome of Menopauseの略称で、閉経関連泌尿性器症候群のことです。閉経を迎える時期の頃に、女性器、尿路に症状が出てきます。

GSMは、以前は老人性膣炎、萎縮性膣炎と呼ばれていた症状です。

2014年に、国際女性性機能学会と北米閉経学会が「膣炎以外の尿路や性機能のトラブルも包括して治療を進めるべき」ということで、新しく言葉の定義が決められました。

GSMの主な症状

GSMの主な症状は、女性器、尿路、性機能に現れます。

女性器に現れる症状では、膣粘膜が薄くなるため、膣が乾燥しやすくなり、かゆみや性交痛を感じるようになります。また、自浄作用も低下するので、膣炎が起きやすいなどがあります。

尿路症状では、膀胱炎、頻尿、尿漏れが起きます。頻尿の目安は、昼に8回以上、夜に2回以上トイレに行く場合です。

また、性機能症状では、性交渉の時に感度が低下したり、オーガズムに達せないなどのトラブルがあります。

生活の質(QOL)を大幅に下げる症状となるため、症状が現れ始めたら「年齢のせいかもしれない」と諦めずに、適切な治療を行うことが大切です。

GSMの原因

女性ホルモンの分泌量の変化_参考画像
出典元:エナ女性クリニック「女性ホルモンの役割とは?多い場合や少ない場合の変化や増やす方法も紹介」

 

GSMは、閉経や体質、治療の影響などで女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少して起こります

女性ホルモンは、生殖機能、泌尿器や皮膚など体のさまざまな機能を調整する役割を担っています。30歳を過ぎた頃から、閉経に向けて女性ホルモンの分泌が減少していくと、膣、尿路、性機能のトラブルにつながるのです。

また、GSMは進行性の疾患であり、放置しておくと高齢期に進むにつれて症状が悪化していく可能性があります

GSMの婦人科への受診目安

GSMの症状の中で、特に日常生活に支障をきたすのは尿路症状です。

尿路症状の改善のために、泌尿器科を受診する方がいますが、GSMは原因が女性ホルモンの分泌低下なので、泌尿器科での治療では症状が改善されない場合があります。婦人科やHPなどでGSMの治療を明記している医療機関への受診が望ましいです。

婦人科への受診目安は、以下の通りです。少しでも違和感があれば、GSMでなくても、婦人科系疾患の症状の可能性もあるため、医療機関を受診してください

  • 膣に違和感がある(乾燥している・かゆみがある)
  • 性交痛がある
  • おりものや分泌物のニオイが気になる
  • 頻尿になってきた
  • 膀胱炎を繰り返している
  • 性的意欲が低下している

また、膀胱炎や頻尿、性的意欲改善などそれぞれの症状の処方薬を飲んでも良くならない場合も、GSMの可能性があります。

GSMの治療方法

GSMの初期症状では、保湿剤や潤滑剤などのホームケア、骨盤底筋トレーニングなどの運動療法を行います。

症状が改善されない場合には、内服薬、貼り薬、クリームなどで局所的に女性ホルモンの補充治療を行います。

ただし、女性ホルモンの投与は、副作用も伴うため注意が必要です。

喫煙や肥満がある方は血栓症のリスクがあります。また、乳がん、脳卒中、心筋梗塞にかかったことがある場合、ホルモン補充療法は受けられません。

GSMの予防・対策方法

GSMの症状の予防・対策方法には、以下があります。

  • 骨盤底筋トレーニング
  • デリケートゾーンを洗いすぎない
  • デリケートゾーンの保湿ケア
  • 膣の常在菌(乳酸菌)を増やす

それぞれを解説します。

骨盤底筋トレーニング

GSMでは、女性ホルモンの分泌が減少することで、外陰部周辺の筋力が低下していきます。予防・対策には、骨盤底筋トレーニングがおすすめです。骨盤底筋を鍛えることは、尿漏れや膣のゆるみの予防にもつながります

骨盤底筋トレーニングについてはこちらで詳しく解説しています

 

骨盤底筋は目視できない筋肉です。そのため、トレーニングを行っても、成果が目に見えにくく、正しく鍛えられているかの確認が難しいといえるでしょう。

ケーゲルチェッカーは、骨盤底筋を測定し、骨盤底筋の筋力の柔軟性や、動かす上手さをチェックできるアイテムです。繰り返し使えるので、毎日の骨盤底筋トレーニングと併せて使うのがおすすめです。

 

デリケートゾーンを洗いすぎない

GSMでは、デリケートゾーンに違和感が生じますが、かゆみやニオイが気になるからといって洗いすぎないことが大切です。

ボディーソープなどは洗浄力が強すぎるため、膣の自浄作用に必要な常在菌も一緒に洗い流してしまう場合があります。デリケートゾーン専用のソープを使って、お湯で優しく洗い流すようにしましょう。

この時、膣内は洗わずに外陰部のみを洗うようにしてください

 

iroha インティメイトウォッシュは、弱酸性のデリケートゾーン専用ソープです。泡で出てくるタイプなので、肌を擦らず、泡で包み込んで汚れを洗い落とします。

デリケートゾーンの保湿ケア

GSMでは、女性ホルモンの分泌量の減少によって、外陰部の皮下組織に影響が出ます。膣の粘膜の弾力や水分量が減少していくため、膣の乾燥につながります。

日頃からデリケートゾーンの保湿ケアで予防を行いましょう。下記の記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事】デリケートゾーンケアは何をすべき? iroha INTIMATE CAREのおすすめアイテムも紹介 | 医師監修
https://iroha-tenga.com/contents/research/16947/

膣の常在菌(乳酸菌)を増やす

膣の常在菌を増やすことで、膣内での雑菌の増殖を防ぎ、GSMで起こる膣に関するトラブルを予防できます

膣のインナーケアには、食事のバランスや睡眠時間、運動を取り入れることが大切です。体の健康を意識することで、膣内の常在菌のバランスを整えられます。

 

さらに、サプリメントなどを取り入れるのもおすすめです。YoniFloraは膣内環境をケアする機能性表示食品で、膣で働く乳酸菌サプリメントです。

※本品には乳酸菌GR-1(Lactobacillus rhamnosus)および乳酸菌RC-14(Lactobacillus reuteri)が含まれます。
乳酸菌GR-1および乳酸菌RC-14には、膣内環境を良好にし、膣内の調子を整える機能が報告されています。

GSMは女性ホルモンの分泌低下によって起こる症状。迷わずに婦人科を受診しよう

GSM(閉経関連泌尿性器症候群)は、2014年に新しく定義された名称であるため、医療従事者の間でもまだ認知度が低いといわれています。

そのため、GSMではなく、女性器、尿路、性機能それぞれの症状を別々に診断してしまい、なかなか本当の原因(GSM)に辿り着けず、症状が改善されないというケースもあるようです

GSMの原因は、女性ホルモンの分泌低下によるものです。

更年期を迎えていて、ご自身の性器、尿路、性機能などに気になる点があるという方は、迷わずに婦人科を受診しましょう

また、GSMは予防や対策ができるものなので、デリケートゾーンのケアや、骨盤底筋トレーニングなどできることから始めてみるのもおすすめです。

〈著者プロフィール〉

TENGAヘルスケア 綿来美紀(わたらい みき)

平成7年生まれ。女性向けWebメディアにてコンテンツ制作に従事したのち、男女問わずより多くの方の悩みを解決したいと考え、2024年2月よりTENGAヘルスケアに入社。

TENGAヘルスケアのコラムを通じてみなさまのお悩みを少しでも解決できればと考えています。いつでもご相談お待ちしています!

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