精子(精液)は温度に弱い? 精子にとって快適な環境や温度は何度?
不妊治療に取組まれている方なら、恐らく何度も経験されている精液の採取。
実は精液って、温度の変化に弱いって知っていましたか?
特に自宅で採精して、それをクリニックに運搬する場合、温度管理の有無によって精子の質は大きく変化します。
今回は、温度によって精子の質がどのように変化するか、また精子に最適な温度についてご紹介します。
現在不妊治療に取組まれている方や、これから取組まれる予定の方は是非参考にしてください。
温度による精子の運動率の差
図1 採精後の時間経過と、精子の運動率(Motility)と生存率(Viability)の関係[1]
図1は20℃、4℃、37℃で精子を一定時間保管した時の、運動率と生存率の差になります。
室温(20℃)で一番運動率が保たれている様子が分かります(実線)。
寒いと運動が落ちるのは何となく想像できますが、暑くてもダメなんですね。
暑くなると雑菌の繁殖が増えて精子が死滅したり、代謝が上がって精子が持っている運動エネルギーが枯渇するのが早くなると言われています。
温度による精子の形状の差
図2 採精後の時間経過と、精子の空胞率の関係[2]
図2は、精子の空胞率(頭部に空胞がある精子の割合)を、室温(21℃)と37℃で、採精後の時間経過毎に見ています。
空胞が無いのが正常な精子なので、37℃よりも室温の方が正常な精子が多い事になります。
図3 空胞のある精子の様子[2]
Aが空胞が無い正常な精子、Bが小さな空胞がある精子、Cが大きな空胞がある精子、です。
結論:精子(精液)にとって快適な温度は何度?
上記の研究から、精子にとっての適温は20℃程度ということが分かります。
特に冬場の低温は要注意ですので、実際には20~25℃の室温程度で採精し、その温度を維持するのがオススメです。
生殖補助医療の数十年の歴史の中で、卵子の研究は盛んに進んで来ましたが、それと比較して精子には分からない事がまだまだ沢山あるそうです。
当然、精子の質が妊娠の成否を左右する可能性は十分ありますので、温度管理も気を付けて行いましょう。
精子の温度管理の方法
「少しでも良い精子を治療に使いたい」と思いましたら、TENGAヘルスケアの『SEED
POD』を使ってみるのはいかがでしょうか?
真空魔法瓶構造になっているので、冬は寒さから、夏は暑さから中の精子を守ってくれます。
基本的に、射精してスグの精液を治療に使うのが良いとされていますが、病院で射精しない限りは、なかなか難しいですよね。
使用する採精容器に制限がありますが、通院されている医療機関にご確認の上、不妊治療に取り入れてみるのはいかがでしょうか?(ご購入はコチラから)
専門家より
精液は精液検査のみならず、治療にも必ず用いられるものであり、精子をケアすることは妊娠率の向上へと繋がります。
自宅で精液を採取した場合、クリニックに運ばれるまで気温や湿度に影響されその質が悪化してしまい、本当は正常な精液所見のはずが誤って元気の無い精液と誤診されてしまうだけでなく、本来妊娠するはずが妊娠しないなど多くの弊害につながります。
SEED
PODは、自宅からクリニックへ精液を運ぶ際あるいはクリニックで治療に用いるまで保存している間、精子の悪化を最小限に抑えられる保存容器です。
ぜひSEED PODを使って、正しい精液検査や最大限の治療効果を引き出しましょう。
【参考文献】
[1]Appell, R. A., P. R. Evans, and J. P. Blandy. “The effect of temperature on
the motility and viability of sperm.” British journal of urology 49.7 (1977): 751.
[2]Peer, Sigal, et al. “Is fine morphology of the human sperm nuclei affected
by in vitro incubation at 37° C?.” Fertility and sterility 88.6 (2007): 1589-1594.
<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!