着床出血はいつ起こる?生理との違い・着床後の注意点も

着床出血は、生理予定日とほぼ同じタイミングで起こります。そのため、生理と勘違いしてしまう方が多いです。また、着床出血は、妊娠した方全員に起こるわけではありません。

この記事では、着床出血について解説します。生理との違いや妊娠のサインについてもお伝えしますので、「妊娠だろうか……」と思った際にはぜひ参考にしてください。

 

【記事監修】

記事の監修者情報・著者情報

芥川修 医師

  • 日本産婦人科学会認定医
  • 母体保護法指定医
  • 胎児心エコー認証医
  • 日本産科婦人科遺伝診療学会認定医
  • 新生児蘇生法インストラクター(NCPR)
  • Da Vinci surgical system ライセンス
  • FMFライセンス
  • JCMELS
  • 日本周産期新生児医学会暫定指導医

 

着床出血はなぜ起こる?

着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に、子宮内膜の血管が傷つくことで起こります。妊娠が成立すると、最後の生理が始まった日が「妊娠0週0日」として計算され、排卵は妊娠2週目頃、着床は妊娠3週目頃に起こります。着床出血は着床から少し遅れて発生するため、妊娠4週目頃に見られることが多いです。

受精からおよそ12日程度で着床は完了し、着床出血は着床開始から完了までの期間に起こります。

着床出血は生理予定日とほぼ同じタイミングで起こるため、生理と勘違いされやすいです。また、すべての妊婦に着床出血が起こるわけではなく、約4人に1人程度が経験するとされています。

参照:着床外来|東大病院

着床出血と生理の違い

着床出血と生理には、いくつかの異なるポイントがあります。これらの違いを理解することで、妊娠の早期兆候を見逃さずに気づけるでしょう。

 

項目 着床出血 生理
茶色やピンク色に近い赤色 鮮やかな赤色から暗赤色
出血期間  1日から3日程度 3日から1週間
量は少なくナプキンの必要がない場合が多い。血の塊は出ない。 1~3日ほどナプキンが必要になるほど出血する。血の塊が出ることも。腹部症状
腹部症状 チクチクとした軽い痛み。 下腹部がだるく、重たい痛みが生じる。

 

着床出血以外に現れる妊娠初期症状

妊娠初期には、着床出血以外にもいくつかのサインが現れます。

生理が来ない 子宮内膜が剥がれ落ちないため、生理が来なくなる。最も一般的な妊娠の初期サイン
乳房の張り 受精卵が着床すると、女性ホルモンの分泌が活発になって胸の張りを感じる。妊娠週数が進むにつれて胸のサイズが大きくなり、乳頭が敏感になることも
熱っぽさ 妊娠により高温期が持続される
だるさ 女性ホルモンの影響で体のだるさを感じることが多い。黄体ホルモンは脳の神経に作用し、だるさやイライラなどの気分の変化を引き起こすことも
つわり 妊娠4週頃から吐き気や嘔吐などの症状が現れることが多い。妊娠した女性の半数から8割が経験する

 

上記のような症状が現れた場合、妊娠の可能性を考え、早めに医師の診察を受けることが大切です。

 

「妊娠かな」と思ったら妊娠検査薬を使用してみましょう

着床出血が確認できたら、妊娠しているかどうかを確認するために妊娠検査薬を使用するのがいいでしょう。妊娠検査薬は、自宅で簡単に使用でき、結果が迅速にわかるため、初期の妊娠確認に適しています。

妊娠検査薬は、尿の中に含まれるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンに反応します。hCGは妊娠を維持するためのホルモンで、受精卵が着床してから分泌されます。このホルモンの存在により、妊娠の可能性を確認できます。

参照:妊娠したと思ったら病院へ行くタイミングはいつ?検査の流れなどを解説|国立成育医療研究センター

妊娠検査薬は「妊娠5週目」以降から使用できる

受精卵の着床から1週間経つと、hCGの分泌量が増加します。市販の妊娠検査薬は多くの場合、妊娠5週目以降に使用することが推奨されています。

妊娠4週目から使える早期妊娠検査薬もあり、早めに結果を知りたい方にはこちらを使用するのも一つの方法です。

参照:妊娠検査薬で妊娠判定が出来るのはなぜ? —hCGについて—|東邦大学医療センター 大森病院 臨床研究部

着床(妊娠)が確認出来た後の注意点

流産の9割は、妊娠12週前に起こる初期流産です。また、初期流産の原因は、胎児の染色体異常など、赤ちゃん側に原因があることが大半です。

流産を避けるために、着床出血がみられた際の注意点を解説します。

葉酸を摂取する

葉酸はビタミンB群の一種で、細胞の分裂や成熟に関与する栄養素の1つです。妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の二分脊椎などの神経管閉鎖障害のリスクが高まります。葉酸を効率よく摂取するには、サプリメントがおすすめです。

参照:葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果|e-ヘルスネット[情報提供]厚生労働省

アルコール類を控える

妊娠が分かったら、アルコール類を控えましょう。胎盤を通じて胎児にもアルコール成分が届き、受精卵の成長に悪影響を及ぼすからです。

アルコールは胎児性アルコール症候群のリスクを高め、発育障害や先天性異常の原因になるため、妊娠初期から禁酒を心がけましょう。

喫煙をやめる

妊娠中の喫煙は、胎児に悪影響を及ぼします。喫煙は胎盤の血流を減少させ、流産や早産のリスクを高めます。また、低出生体重や発育障害の原因にもなります。

依存性が高く1人での禁煙が難しい際には、医療機関の専門治療を頼るといいでしょう。

参照:女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響|e-ヘルスネット[情報提供]厚生労働省

睡眠の質を高める

着床出血後は、熱っぽさやだるさを感じる方が多いです。体調管理の面でも、無理をせずにしっかり休息を取るようにしましょう。

リラックスできる環境を整え、定期的な睡眠パターンを維持することで、ストレスを軽減し、健康的な妊娠をサポートします。

激しい運動を控える

着床出血後から妊娠初期は、激しい運動を避けましょう。過度な運動は子宮収縮を引き起こす可能性があるため、ウォーキングやスイミングといった、身体に負担がかかりにくい運動を選びましょう。

運動の種類や強度については、医師と相談するのが安心です。

参照:妊娠初期から産後まで 母体の変化と仕事への影響|働く女性の心とからだの応援サイト

着床出血かな?と思ったら早めに医療機関を受診しよう

「着床出血?生理?どっちだろう」と悩んだ場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。

着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる出血で、生理と勘違いされることが多いです。妊娠3〜4週目に起こり、出血量や色、期間が生理とは異なる点が特徴です。

また、妊娠が確認された後は、葉酸の摂取やアルコール・喫煙の控え、十分な休息などに注意し、健康的な妊娠生活を心がけましょう。