初めての精液検査 精液検査の基本を解説

妊活中の男性は、もう精液検査は受けましたか?妊活で男性が最初に行うことは精液検査です。「これから精液検査を受ける」という方や、「精液検査について何も知らない」という方のために、おさえておきたい精液検査の基本を解説します。

精液検査とは

精液検査とは、精液を医師や培養士が観察したり、専用の機械で分析することで、その人の精液(精子)が、どれくらい妊娠するために適した状態かをチェックする検査です。精液検査は、医療機関で行われる医療行為に該当します。精液検査で得られる様々な情報は、精液所見と呼ばれます。

精液検査が重要な理由

精液検査は、男性の妊活で最も重要な取り組みです。精液検査が重要な理由を以下に挙げます。

  1. 精液の質の悪さが不妊の原因となる(治療方法が変わる)
    精液に問題があると妊娠に至らないか、妊娠の可能性が著しく低下します。実際、男性不妊の原因の8割は、精液の質にあると報告されています[1]。それ故、精液検査の結果次第で適切な治療法も変わります。
  2. 精液の質が悪い男性は少なくない
    結婚前の男性722人の精液検査を行った調査では、約20%の男性で、精液所見の何かしらの数値が基準値に満たなかったと報告されました[2]。また、精液中に精子が全く居ない無精子症も、日本人男性の約1%に見られると報告されています[3]。精液の質が悪いことは、決して他人事ではないのです。
  3. 精液の質は検査をしなければ絶対にわからない
    自分の精子に自信を持っている男性をよく見ますが、子供が居ない場合、その自信に根拠はありません。実際TENGA社内でも、スポーツマンや活力満点の男性社員で、精液所見が悪かったことが何度もありました。根拠のない自信で精液検査を避けることは、妊娠のチャンスを逃すことに繋がります。

精液検査を受けるべきタイミング

精液検査は、妊活を始めるタイミングではもちろんのこと、「数年以内に子供が欲しい」と思ったら受けることをオススメします。精液検査が遅れ、後になって不妊の原因が精子にあると判明した場合、「それまでの努力は無駄だった」ということにもなりかねません。

精液検査の方法(手順)

医療機関によって多少差はありますが、精液検査は以下の流れで行われます。

  1. 受診し、説明を受ける
  2. 指定された期間、禁欲する
  3. 院内か自宅で、専用の容器に精液を採取する
  4. 精液を提出する
  5. 精液が検査される
  6. 結果を受け取る
  7. 2回目以降の検査

精液検査は医療機関にかかる所から始まります。泌尿器科、産婦人科、不妊クリニックなど、精液検査は様々な施設で受けれますが、男性不妊の専門医が居る施設で受けることをオススメします。

また、精液検査は結果のバラツキが大きく、2回以上の検査が望ましいと考えられています。

<参考>
一喜一憂は禁物!?精液検査の結果のバラツキについて

精液検査 採精容器 採取容器

精液を採取する容器の例(高さ5~7 cm程度)

自宅からの精液の運搬方法

精液の採取は、クリニック内の採精室などで行う場合と、自宅で行う場合があります。精液の適温は室温(20~25℃程度)です。自宅採取の場合、医療機関への運搬中に精液が冷え過ぎたり、熱くなり過ぎないように注意しましょう。

<参考>
精子(精液)は温度に弱い? 精子にとって快適な環境や温度は何度?

検査でも治療でも、自宅からの精液の運搬には、精液の温度変化を抑える『SEED POD』がオススメです。

精液採取の注意点

精液の採取方法にも、いくつか注意点があります。基本的に、清潔な状態で気持ちよく射精できればOKですが、初めての精液採取では多くの方が戸惑ってしまいます。

採取の注意点は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ見てみましょう。

<参考>
精液採取の注意点 より良い精液(精子)を採取するために

禁欲は必要?

よくある質問に、「禁欲はするべきか?」があります。基本的に、禁欲は精子の質を悪化させるためオススメしません。1~3日に1回は射精するのがオススメです。ただ、禁欲期間が短すぎると精液が溜まりきらない場合があります。医療機関によりますが、2~5日程度の禁欲を指示されることが多いでしょう。

精液検査の結果の見方

精液検査では、主に以下の項目について、数値で結果が示されます。

  • 精液量:1回に射精された精液の量
  • 精子濃度:精液1 ml中の精子の数
  • 運動率:動いている精子の数の割合(前進運動性など、動きの質を見る場合もある)
  • 総精子数:精液全体に含まれる精子の総数
  • 総運動精子数:精液全体に含まれる運動している精子の総数
  • 正常形態率*:形態が正常な精子の数の割合
  • DNA断片化指数(DFI)*:精子のDNAの損傷具合
     *この検査は一般的な精液検査では実施されません

精液検査 基準値
精液検査の基準値(赤枠)([4]より改変)

これらの数値と基準値を比較し、精液所見の良し悪しが分かります。精液検査の結果は、妊活の方法/治療方針を検討する際の参考にされます。

<参考>
精液検査の「基準値」とは?数値の意味を解説
精液検査の基準値比較 2021年版と2010年版

精液検査の費用

精液検査の費用は、男性不妊としての検査であれば、保険適用で数百円~1,000円程度です。自由診療だと、5,000円以上になる場合もあります。また、正常形態率やDNA断片化検査などの高度な検査を行う場合、更に費用が発生します。検査費用や検査内容は医療機関によって差があるので、直接確認することをオススメします。

不安ならまずはメンズルーペから

精液検査の重要性は先述しましたが、それでも検査に腰が重い男性は少なくありません。そのような場合、まずは『TENGA MEN’S LOUPE』を使い、自宅で精子観察をしてみましょう。もちろん医療機関での検査が推奨なので、その手前での一呼吸/心の準備として活用してください。精液検査 メンズルーペ

まとめ:精液検査は妊活の第一歩目

今回は妊活の超重要要素である、精液検査について解説しました。「妊活に真剣に取り組みたい」「後で後悔したくない」と思うなら、精液検査を受けない選択肢はありません。自分を知る第一歩として、精液検査を受けましょう。

 

【参考/出典元】
[1]我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究 平成27年度総括・分担研究報告書 ダイジェスト版
[2]NHK あなたの“精子力”は大丈夫?ニッポン“精子力”クライシス
[3]日本Men’s Health医学会 第1回コラム:意外に多い男性の不妊症について
[4]WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen,
Sixth edition, 2021

 

聖隷浜松病院リプロダクションセンター センター長
今井 伸(医師)
■泌尿器科医 ■性機能専門医 ■生殖医学会生殖医療専門医
■性科学会認定セックス・セラピスト専門医
聖隷浜松病院リプロダクションセンター

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!