TENGAヘルスケアの助産師が自分の性と向き合ったときの話
TENGAヘルスケアの助産師 古川です。
*これは私の体験談です。もし不快な気分がされたり、性的トラウマをお持ちの方は読むのはお控えください。
私が6歳の時のこと。
それはなんの前触れもなく、突然やってきました。
毎年お盆の季節に、家族で母方の祖母の家に帰省するのが恒例でした。
いつも祖母が出してくれる美味しい麦茶や、田舎の長閑な風景、いつも優しく迎えてくれる叔父、長老の猫。狭い団地住まいだった私には、至福の夏休みでした。
いつも2階が私たち家族の宿泊場所。
真っ先に弟と寝る場所を取り合うくらい好きな部屋でした。
10個くらい歳の離れた従妹たちの部屋。いろんなポスターが貼ってあったり、日本人形が飾られていたり、締まる時にいちいち鈴の音が鳴るドアだったり。
全部がワクワクする空間でした。
畳の香りも新鮮で、それはそれは落ち着く場所だったのです。
3〇歳になった今でも、その時のことは鮮明に覚えています。
痛いことをされた。
なんであの人はわたしのパンツに手をいれたんだろう。
何を触ってるの?
なぜ、こっちへおいでと膝の上に私を乗せたのだろう。
痛いと言ってもやめずに、どんどんおかしなことをし始めたのです。
なぜあなたは手の匂いを嗅いで、微笑んでるの?
なぜなの?
幼い私には、起きていることが何なのか理解できるはずがありません。
来年やっとランドセルを背負える年齢です。
弟は何も気づかず目の前でテレビゲームに夢中。
親や親戚は一階で楽しそうに笑ってる。
痛いと強く言えずに、何となく身体を動かして抵抗してみたけれど、私の小さな身体はされるがままでした。
当時6歳だった私はよくここまで、冷静に周りを見れていたなと今でも感心してしまいます。
それくらい大人びた子どもでした。
それが私の初めての「痛い(イタイ)体験」。
その後母とお風呂に入る際に、なぜかお風呂でお股をしっかり洗うのが大事だと、よく石鹸で洗われたけど、毎回ヒリヒリしていて、それがもしかしたらこのせいだったのか?と今では思います。
お股を石鹸で洗うのも良くなかったとも思いますが・・・
10歳の時に初めて竹下通りデビューをしたときの話。
友人と雑貨屋さんで、可愛いものを手に取りテンションがあがっていたのです。
「見てー。これ超可愛いよ。」
そんなことで夢中になっている時。。。
その男は突然私のお尻を触ったのです。通りすがりに。
何をされたのか一瞬わからなかったけれど、確実に「お尻に手のひらを当てられた」感触が。
40代半ばの中年風の男、白髪交じりの髪は七三に分けられていました。
これが初めての痴漢。
そのときは怖くて怖くて友人の手を引き、「ねぇちょっと違うお店行こうよ。」と理由を告げずにすぐに逃げました。でもその男は無表情で後を追ってきたのです。
ただただ本当に怖かった。表情一つも変えずに追ってくる男の顔は今でも覚えています。
交番まで行こうとするも場所が分からず、勇気もなく駅に向かいました。
結局何だったのか分からない恐怖と不快な感触に、気持ちの整理ができず嫌な記憶としてだけ残っています。
17歳で、中学のときの同級生だった彼氏とセックスをすることになった。
彼はとても優しく丁寧に私に触れてくれて、キスをしてくれた。
親がいない日に彼とお泊りした日もも彼は優しかったのです。
次の瞬間6歳の自分が蘇ったのです。
「あ、これあの時の…」
全く気持ちよくなくて、痛いだけ。
そんなことは彼に言えない。
何とか処女を捧げたわたしに優しい彼は「大丈夫?痛くなかった?」と聞いてくれ、少し痛かったけど、気持ち良かったよと嘘をつきました。
でも足は痛みで痙攣していたと思います。
とても痛くて、こんなの一生無理だと悟ってから、彼とのセックスはガマンの時間となってしまいました。
そこから13年くらい、いわゆる挿入ありきのセックスはできなかったのです。
どんなに大好きな人でも、彼が私を大事にしてくれてるのをわかっていても、身体が受けつけてくれませんでした。
相手のペニスを見ただけで、もう無理だなと、力が入り腟が勝手に萎縮して、どうやっても挿入が無理で、泣きながらごめんね。ということが続きました。
年下の彼には「なんで僕のは無理なんだろう。僕のせいかな?」と悲しい目で見られたこともありました。
「セックス最高」とか「気持ちいい」という友達にインタビューしたり、痛くない体位とか、とにかく調べまくりましたが、中々悩み解決に直結する有力な手掛かりは得られませんでした。
そこから私はパートナーができる=セックスしなきゃいけないという思いから、パートナーを作ることにとてもハードルを感じ始めました。
セックス=痛いこと
だから…
セックス=気持ちいい、最高
にはならなかったのです。
とにかく”痛み”が先に出てきてしまいました。
マスターベーションでも勿論挿入はできなかったです。
こすりつけるものはしていたと思います。
とにかく腟内に何かを入れるという行為が受けつけませんでした。
大学で心理学を専攻していた際に、性交痛という言葉があることを知り、セックスカウンセリングなるものがあることを知りました。
そこで心理的要因が性交痛にも影響する事を知りました。
ワギニスムスという言葉も・・・知りました。
ただその時は、あまりその言葉が結びついていなかったのです。
まさか6歳の自分の身に起きた経験が、大人になった今もここまで影響してるだなんて・・・
結局30年近くセックス(性行為と性的なトラウマ)に悩まされてきた私にとって、「痛みのない、気持ちの良いセックス」は雲の上の存在でした。
まだまだ書ききれてはいませんが、性被害に遭ってしまった自分にとって、男性の印象も非常に悪かったです。
性欲を吐き出すために、存在しているとさえ思っていたこともありました。
なかなか昔のトラウマは思うように消え去ってくれないのが現実です。
女性の身体に生まれたことさえ、嫌なこともありました。
それから、性犯罪者の加害者側の心理は、私の中でも非常に興味のあるトピックになりました。
性被害にあうと、被害者のケアは自ら動けばサポートしてもらえるが、加害者が再犯を起こさないためには、一体どんなケア?がなされているのかも気になりました。
何度か性犯罪のセミナーや、警視庁主催の性犯罪者に関する報告会にも足を運んだりもしました。
それを聞いた際に、途中具合が悪くなり、トイレで倒れたこともあるくらい、自分が思っている以上に、心の傷は深かったのだということをまじまじと突きつけられたのです。
でもそれが大切なアクションだと思っていました。
その後助産師となり、生命の誕生に何度も立ち会う中で、本当に患者さんに救われる事が多く、多くのエネルギーをもらいました。
と、同時にやはり耳を疑うような酷いことをされた上に、妊娠した方にも出会いました。
やはり繰り返していけはいけないし、二度と私と同じ経験をする子どもを生み出してはいけないという想いが強くなりました。
未来の自分の子どもにもそんな経験はしてほしくないです。
だからこそ、セックスや性的トラウマで悩んでいる人の気持ちが少しでも軽くなるように、取り組んでいきたいと思いTENGAヘルスケアに入社しました。