精液検査の基準値比較 2021年版と2010年版

精液検査の基準値は、2021年7月にWHOより新たな基準値が発表されました。★★

今回は最新の基準値と、以前(2010年版)の基準値を比較して、何が変わったか見ていきましょう。

2021年版 精液検査の基準値

精液検査の基準値は、12ヵ月以内に妊娠した女性のパートナー(男性)の精液所見から算出されています。

そして、基準値として使用されているのは、各パラメータの下から5%の順位に当たる数値です。

下5%なので、当然この基準値は優れた値というわけではなく、「自然妊娠するための最低限のライン」という意味になります。言い換えれば、この基準値以下や、基準値を少し超えた程度の精液所見では、自然妊娠する可能性は低いと考えられます。

そのような場合、原因に応じた適切な対応が重要です。外陰部の視触診や超音波検査など、医師(できれば男性不妊の専門医)による精密検査を受け、精液所見が悪い原因を探しましょう。

精液検査 基準値

([1]より改変)2021年版精液検査の基準値 赤枠が自然妊娠に必要な下限値

2010年版との比較

精液検査 基準値 比較

こちらは、2010年版と2021年版の、自然妊娠するための最低限の基準値の比較です。両者に大差はないように見えます。

2010年版は欧米のデータが中心で、アジア地域は中国とシンガポールが僅かに含まれている程度でしたが、2021年版では中国やエジプト、イランといった地域のデータが追加され、より全世界的な基準値となっています。

今後、精液検査の数値を見る際は、2021年版のデータを参考にすると良いでしょう。

まとめ:早めの精液検査を

今回紹介した基準値をはじめ、妊活に必要な情報は日々更新されていきます。しかし「精液検査はなるべく早く受けるべき」という鉄則は、依然として変わりません。「自分の精子は大丈夫だろう」という思い込みが対応を遅らせ、妊活の成否を左右する場合も少なくありません。妊活を意識したら、早めに精液検査を受けましょう。

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【参考/出典元】
[1]WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen,
Sixth edition, 2021

 

聖隷浜松病院リプロダクションセンター センター長
今井 伸(医師)
■泌尿器科医 ■性機能専門医 ■生殖医学会生殖医療専門医
■性科学会認定セックス・セラピスト専門医
聖隷浜松病院リプロダクションセンター

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!