精子を増やす!妊活のための精子の増やし方を解説

不妊症のカップルでは、男性にも原因がある場合が約半分、そしてその原因の8割以上を「造精機能障害(精子の製造に問題がある状態)」が占めます。造精機能障害の原因が分かる場合は、その原因への対処が行われますが、半分以上のケースは原因不明です[1]。

今回は「原因が分からないけど精液所見(精子の数や質)が低い」という場合に行われる対処法を、網羅的に紹介します。現在妊活中や今後妊活を予定している方は、ぜひ早めに、精子のコンディショニングに取り組みましょう。

生活習慣での精子改善

精子改善で最初に行われるのが「生活習慣の見直し」です。精子は体内(精巣)で作られるので、当然体調に左右されます。

食生活で精子を増やす

まずは食生活です。トランス脂肪酸(マーガリンなど)を避け、ビタミンB, C,
E、亜鉛の適量摂取などが推奨されますが、基本的には
1日3食、色々な食材をバランス良く食べることを心がけてください。

また、酸化ストレスが増えると、精液所見(精子の数や質)が低下するので[2]、ポリフェノールやリコピンといった抗酸化物質を積極的に摂取すると良いでしょう。

精子への飲酒の影響

妊活中の飲酒は控えるべきだと考えがちですが、男性の飲酒は妊娠率に影響しないことが報告されています[3]。

ただ、アルコールの過度な摂取は体に悪影響なので、適量を心がけましょう。

<参考>
妊活中はお酒を控えるべき?飲酒の影響とお酒との付き合い方

睡眠で精子を増やす

睡眠も精液所見に関係します。

中国で行われた研究では、睡眠時間が7~7.5時間の人は、7時間未満の人や、9時間以上の人と比較して、精液量やDNAの完全性を表す指標が良好であることが報告されました[5][6]。

また欧米の研究でも、睡眠の質が高い人は、低い人よりも精子濃度などが高かったと報告されました[7]。

ダラダラと寝過ぎには注意しつつ、毎日質の良い睡眠を7時間以上とること心がけましょう。

運動で精子を増やす

運動によって、精液所見が改善します。

男性不妊患者430名を対象にした研究では、24週間の筋力トレーニング(1回2時間×週3回)を行った群は、トレーニング非実施群と比較して、精液検査の各パラメータや、DNA損傷率などが改善されたと報告されました[8]。

またインドの研究では、肥満(BMI30以上)の男性は、精液量や精子濃度、運動率が有意に低いことが報告されています[9]。

一方、中国の研究では、痩せ型(BMI18.5未満)の男性で、精子濃度などが有意に低かったと報告されました[10]。

以上のことから、継続的な運動と標準体型の維持が、精液所見の改善に繋がると考えられます。

ストレスを減らし精子を増やす

食生活の項でも紹介しましたが、体内の酸化ストレスの増加は、精液所見の低下に繋がります。

酸化ストレスへの対策では、そもそも酸化ストレスの元(活性酸素種)を溜めないことが大切です。

活性酸素種は精神的ストレスによって増加するため、可能な限りストレスを溜めない生活を心がけましょう。

以上の生活習慣以外に、精子改善で特に気を付けたい7ヵ条が存在します。

以下で詳しく紹介しているので、参考にしてください。

<参考>
「精子を増やす7ヵ条」妊活中の男性は実践を

サプリメントで精子を増やす

前述した酸化ストレスの対策として、コエンザイムQ10やオメガ3脂肪酸などの抗酸化サプリメントを摂取することは効果的だと考えられています。

また、最近は「シラジット」と呼ばれる、天然成分による精子改善効果が報告されています。

乏精子症の男性不妊患者が、シラジットを1日200
mg、90日服用したところ、精液量、精子濃度、運動率、形態正常率、酸化ストレスのレベルが有意に改善されました[11]。

日本人の不妊症患者で行われた、シラジットとコエンザイムQ10の同時服用試験でも、3ヵ月の摂取によって、精液量、運動率が有意に改善したと報告されています[12]。

生活習慣の見直しと並行して、サプリメントで精子改善を行うのも有効でしょう。

<参考>
精子のケア
は、男性にできる妊活のひとつ「精育支援サプリメント」で体と心に栄養を

精育 支援 サプリメント 妊活 男性

精子の改善をチェックしよう

ここまで紹介してきたように、精子改善には生活習慣の改善、つまり根気が必要です。「飲めば精子が良くなる」という医薬品は、残念ながらまだ開発されていません。

筋トレやダイエットなど、何かを根気よく続けるためには、変化や効果を確認できることが重要ですが、これは精子改善でも同じです。

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精子改善のチェックには、『TENGA MEN’S LOUPE』がオススメです。メンズルーペは、スマホを使った精子観察キットで、1キットで4回測定ができて価格は¥1,500です。iPhoneなら、専用アプリで観察のサポートや、撮影した自分の精子の動画と、サンプルの動画との比較ができます。

2024年2月末まではサンプル動画との比較ではなく、数値解析機能をご使用頂けます(iOS限定)

メンズルーペで精子改善をチェックする際は、改善に取り組む前に1度、改善開始後は1~3ヵ月に1度の頻度でチェックしましょう。

ただし、精子の状態は観察する液の場所や、日毎でのバラツキが大きいため、1回撮影するだけでは不十分です。1回の精液で3箇所、そして2,3日明けて2,3回観察し、これらを平均した状態を1度の精子観察と考えてください。

メンズルーペは1キットで4回使えるので(液の場所はルーペをずらせば変えられます)、1キットで1度の観察ができるイメージです。

メンズルーペは簡易観察キットなので、勿論診断にはなりません。日々の変化はメンズルーペでチェックし、詳細な検査は別途医療機関で受けることをオススメします。

<参考>
妊活・不妊に悩む前に、自分の体を知る一歩として スマホ用精子観察キット「TENGA
MEN’S LOUPE」

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まとめ:精子改善は無理せず根気よく

今回は、精液所見の改善方法を紹介しました。生活習慣の改善はスグ取り組めることばかりですが、全てを完璧に継続することは難しいでしょう。また、真剣に実行するあまり、それがストレスになるのも精子には逆効果です。無理せず、できることから始めて行きましょう。

精子のもとになる細胞(精祖細胞)が成熟精子に発育するまでには約2ヵ月(42~76日)かかります。ということは、生活習慣の改善を始めてから、それに反応した精子が出てくるまでに、約2ヵ月はかかることになります。

短期集中で取り組んで改善効果を得ようとするのではなく、持続可能な改善方法を選んで、根気よく継続してください。

 

【参考/出典元】
[1]我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究 平成27年度総括・分担研究報告書 ダイジェスト版
[2]Sabeti, Parvin, et al. “Etiologies of sperm oxidative stress.”
International Journal of Reproductive BioMedicine 14.4 (2016): 231.

[4]Høyer, S., et al. “Male alcohol consumption and fecundability.” Human
Reproduction 35.4 (2020): 816-825.

[5]Chen, Qing, et al. “Inverse U-shaped association between sleep duration
and semen quality: longitudinal observational study (MARHCS) in Chongqing,
China.” Sleep 39.1 (2016): 79-86.

[6]Wang, Xiaogang, et al. “Sleep duration is associated with sperm chromatin
integrity among young men in Chongqing, China.” Journal of sleep research
27.4 (2018): e12615.

[7]Jensen, Tina Kold, et al. “Association of sleep disturbances with reduced
semen quality: a cross-sectional study among 953 healthy young Danish
men.” American journal of epidemiology 177.10 (2013): 1027-1037.

[8]Maleki, Behzad Hajizadeh, and Bakhtyar Tartibian. “Resistance exercise
modulates male factor infertility through anti-inflammatory and
antioxidative mechanisms in infertile men: A RCT.” Life sciences 203
(2018): 150-160.

[9]Ramaraju, G. A., et al. “Association between obesity and sperm quality.”
Andrologia 50.3 (2018): e12888.

[10]Ma, Jixuan, et al. “Association between BMI and semen quality: an
observational study of 3966 sperm donors.” Human Reproduction 34.1 (2019):
155-162.

[11]Biswas, Tuhin Kanti, et al. “Clinical evaluation of spermatogenic
activity of processed Shilajit in oligospermia.” Andrologia 42.1 (2010):
48-56.

[12]福元和彦, 精育支援サプリメントの造精機能改善効果, 第19回日本MEN’s
health医学会総会, 2019

 

聖隷浜松病院リプロダクションセンター センター長
今井 伸(医師)
■泌尿器科医 ■性機能専門医 ■生殖医学会生殖医療専門医
■性科学会認定セックス・セラピスト専門医
聖隷浜松病院リプロダクションセンター

<著者プロフィール>
TENGAヘルスケア 研究開発主任
牛場 栄之(うしば ひでゆき)
平成3年生まれ。大学および大学院では神経科学を専攻、2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当、その後現職。
製品開発のかたわら、皆さんに役立つ性や妊活の情報をお届けします!